一公の将棋雑記

将棋に関する雑記です。

湯川夫妻の金婚式パーティーに出席する・B面(後編)

2023-07-11 22:50:45 | 将棋ペンクラブ
参遊亭遊鈴の「子別れ」はさすがに絶品だった。祝いの席に観客の涙を誘うことはなかなかできないものだが、遊鈴はそれをやってのけた。次は新ネタを聞きたいものだ。
落語のトリは木村晋介・将棋ペンクラブ会長。ネタは「片棒」である。私は何度も木村会長の落語を聞いているが、「片棒」がいちばん面白かった。遊鈴さんもそうだが、木村会長も十八番をぶつけてきたわけだ。
今回も、早々に羽織を脱いで熱演である。「長照寺」をアドリブに入れて、芸が細かい。木村会長、将棋のほうは切れがないが、落語はキレッキレである。このネタを拝見できたたけで、会費を払った甲斐があった。
お次は詩吟である。これは恵子さん以下3名が歌う。恵子さんは与謝野晶子の「やわ肌の」。恵子さんのソプラノがなかなかよかったのだが、個人的には落語を聞きたかった。
これで第1部は終わり。第2部は別室で宴会となる。A氏に「隣り同士で話しましょうよ」と言われ、私もその気だった。
ところが別室では、すでに各自の席が決まっていた。各テーブルに名前が置かれ、そこに座ることになったのだ。
私も自分の名前を探すが、将棋ペンクラブ関係の中に、私の名前がない。そりゃそうだ、私は出席のハガキを出してないんだから。まったく、あのハガキがこんなに重要な意味を持つとは思わなかった。
結局私は「空き」と書かれた席に案内された。ほかの席にはお菓子の類が5種類に、揚げ物が入っているパック、それにビールとペットボトルのお茶があった。スタッフの三三さんが急造してくれたが、「完全」には揃わなかった。まあしょうがない。とにかくこちらは、招かれざる客なのだ。
私の右はペンクラブの集まりによく見る方、向かいの熟年夫婦も見たことがあるのだが、よく思い出せない。
乾杯のあと、出席者のお祝いスピーチが始まった。そのメンバーが豪華で、湯川夫妻の交友範囲の広さに驚かされるのである。
その様子を、利発そうな顔立ちの青年が、ハンディカメラに収めている。たぶん湯川夫妻のお孫さんだろう。まさにきょうは湯川ファミリー総出で、やはり記念すべきパーティーなのだと再認識した。
「蝶谷さん」と呼ばれ、向かいの男性が返事をした。あ!? この方が蝶谷氏!? あ、ああそうだそうだ、蝶谷氏だ!
数年前の1月、和光市駅前のマンションでの落語会があり、その打ち上げが湯川邸での新年会だった。その席で蝶谷夫妻と一緒になったのだ。
いまを去ること20余年前、将棋ペンクラブの入金の際、通信欄に「私も何か書いてみようかな」と書いたら、後日蝶谷氏からハガキが来た。「ぜひ原稿を書いてください」と金釘流のアツい文面がしたためられ、それで私は投稿を始めたのだ。蝶谷氏の激励がなかったら、私の投稿は、数年は遅れていただろう。
……ということを新年会で蝶谷氏に話したのだが、話した事実も、ハガキの件も、蝶谷氏は忘れていた。酒の席は、ヒトの記憶を曖昧にするらしい。
恵子さんが近くに来たので、「茂山さんがレポートを頼まれたのは聞きましたが、私も書いていいのでしょうか。ダブりませんか」と聞いてみた。
「いいわよ。それぞれのレポートがあって、いいじゃない」
まあ、恵子さんはそう言うしかないだろう。だが私としては、テーブルに私の名前がなかったことで、若干気持ちが切れた。いやもちろん自業自得なのだが。
大盛り上がりのうちに、中締め。私は和光市駅まで歩いて向かったが、やたら蒸し暑くて、ぐっしょり汗をかいてしまった。
池袋行きの準急が停まっていたので、飛び乗った。そして終点池袋には、タイム10数分で着いた。
そのお隣はJRの改札口である。しかし私は節約のために、都営バスに乗らなければならない。だけど、もうバス乗り場を探すのもめんどうだし、乗れたところで最寄りのバス停まで40分近くかかる。
もうめんどくさくなって、私はJRの改札口を抜けた。私も歳を取ってしまったのである。
しかしおかげ様で、自宅には午後6時前に余裕で着いた。もしバスを利用していたら、7時近くになっていたと思う。
荷物の整理をすると、肝心なものがないことに気づいた。ボールペンである。安物のそれだが私の相棒で、長崎旅行にも北海道旅行にも同行させた。そのボールペンがなかった。宴会部屋に置いてきてしまったのだ。
私は身の回りの品物に魂を込めてしまうタチで、たとえば使い切ったボールペンでも捨てられないところがある。だから「現役」のそれを置いてきてしまったことはショックで、私はへたりんでしまった。
実はこれが、冒頭で「私の心は晴れない」と書いた理由である。
私は改めて、5月にいただいた案内状を見てみる。そこには「5月中頃までに、出欠の返事をくだされば幸いです」とあった。なんだ、私がPCの買い替えをしたころは、すでにタイムアウトだったわけだ。ハハ、傑作である。これは、私は今回のレポートに縁がなかったのだと思った。
まあレポートは当ブログに書いたっていいし、実際将棋ペンクラブの会員より当ブログの読者のほうが多いから、そのほうがより多くの将棋ファンにアピールできる、ということはある。
まずは金婚寄席における私個人のバタバタを「B面」としてアップし、後日に真面目なやつを「A面」としてアップしよう。たぶん、B面のほうが面白い。
コメント
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