一公の将棋雑記

将棋に関する雑記です。

第5回 信濃わらび山荘将棋合宿(最終手)・最後の最後まで

2012-11-15 00:08:11 | 将棋イベント
午後5時すぎ、上里サービスエリアに着く。私は一局将棋を指し終えた気分だった。
Wカーの面々は着いていたが、Honカーがまだだ。20分ほど遅れて到着。聞くと、途中サービスエリアに寄り、Hon氏が奥さんにお土産を買ったという。
都心側でお土産を買うと、片手間で買ったのではないかと疑われる。地方色の濃い地域で買うお土産にこそ、価値があるらしい。
それはもっともだが、ご苦労なことではある。
上里で夕食の手もあったが、野辺山での昼食が少し遅かった。ここでは休憩に留め、最後の晩餐は高坂サービスエリアで、ということになった。
それはいいが、同乗者のシャッフルはしないのだろうか。誰か、中井広恵女流六段のクルマに乗ってくれないか?
しかしクルマは、6時20分、同じメンバーで出発した。何だか、中井女流六段の負のオーラが凄まじいのだが、気のせいだろうか。
しばらく経つと、旅行の話になった。私は、沖縄旅行はお盆休み、九州旅行はゴールデンウィークを利用すると言うと、大野八一雄七段が意外そうだった。私が年中ヒマそうにしているから、行きたいときに行っていると思っていたらしい。さすがの私も、そこまでヒマではない。2月の北海道旅行だって、週末と建国記念の日を利用しているのだ。
…と、ここまで話して、12月の長崎旅行の話に触れないのは不自然だと思った。しかしここで切り出して中井女流六段を長崎に誘っても、断られるに決まっている。
それまでにも車中で、「長崎の喫茶店のマスターが…」と何度か口にしたが、中井女流六段がノッテくる気配がなかった。これは脈がない証左だ。残念だが、長崎へは私ひとりで行くしかないようだ。
教育委員会の話になった。中井女流六段は2003年9月に蕨市の教育委員に任命され、現在3期目。その活動はハタで見るより激務で、私は、「はあ、それは大変ですね」「お疲れさまです」と、ひたすら低姿勢で相槌を打つ。
すると中井女流六段の機嫌も直ってきたみたいで、中井女流六段が私をチラ見して話す回数が多くなってきた。
最後は朗らかな笑みも戻り、私はほっと胸を撫でおろした。
7時すぎ、高坂サービスエリアに到着。全員がそろい、エリア内のレストランで最後の食事を摂る。激混みだったが、何とか入れた。今回は3つに分かれ、私はW氏、Kun氏と同席となった。
待っている最中、私がKun氏に、きのうの横歩取りの変化の正解手を述べる。
するとW氏が、「大沢さん、やっぱり将棋好きだよね」と苦笑いした。多少誤解はあるが、否定はしない。
注文したホルモン焼定食は美味かった。奥のテーブルではMinamiちゃんが「スカイツリーパフェ」なるものを追加で頼んでいるので、彼女らを残して、私たちはレストランを出た。
お土産コーナーで、信玄もちと、宇都宮餃子を買う。上里では水沢うどんを買ったが、これらはすべて、自分用である。ここが切ないチョンガーの気楽さだ。
まだ時間があるので、何人かでサービスエリアの下り側に回る。上りとは目と鼻の先だ。ここのレストランはすいていて、次回寄ったときの穴場になると思った。しかし次回は遅くとも半年後。いまの私は毎日を生きるのが精一杯で、とても半年先のことを考える余裕はない。
ツリーパフェを完食したMinamiちゃんが戻り、ついに最終ランである。中井カーには大野七段、Minamiちゃん、WカーにはIs氏、Hanaちゃん。HonカーにはKun氏、Kaz氏、Fuj氏、私が乗る。
私たちは中井女流六段、大野七段に改めて挨拶。お二方には今回の合宿でも、たいへんお世話になった。
いつも書いているが、一将棋ファンにすぎない私が、不思議な縁によって合宿に加わらせていただくことは、感謝の一語につきる。その恩を返す術はないが、私はいままでどおり、両棋士を応援するしかない。
3台が出発した。東京(川口)に着いてから、ファミレスで最後のおしゃべりを楽しむかどうかは、運転手のHon氏次第である。しかしHon氏は「(クルマの中で)移動ジョナ研ですね」と笑う。これは川口で解散か。
車内は将棋の話題を中心に、みんなで言いたいことを言ってゲラゲラ笑う。そのうちHon氏が、「ガストに寄って行きましょうか」というので、私たちはもちろん賛成した。
そうと決まって、Hon氏の運転にも力が入る。所沢インターチェンジで高速道路を降り、西川口駅前のガストに寄る。すると、Kaz氏のケータイに、奥さんからメールが入った。
「今どこにいるの?」
Kaz氏は奥さんから、将棋での外出は月に1回にして、と釘を刺されているらしい。Kaz氏は仕事に忙殺され、将棋が唯一の癒しの場なのだ。それを規制するとは何たる嫁かと思う。Kaz氏もガツンと言い返してやればいいのだ。
Kaz氏は、「いま高速を走っている」って書きました、とせめてもの反抗だが、店内に入ると、視線が空をさまよっている。このゴマカシも数十分が限度だ。
Kaz氏はコーヒー1杯を飲んで、すぐに店を後にした。Kaz氏の未来に幸あれ。
残る4人でおしゃべり。私が「将棋バカ」を否定すると、「何で否定する必要があるの?」とKun氏。言われてみればたしかにそうだ。
そのKun氏、自ブログで紹介している棋書を全部購入しているそうで、蔵書は300冊になるという。ちょっとしたライブラリーで、さぞかし壮観だろう。
11時10分ごろ、Kun氏も帰るというので、じゃあこれでお開きにしましょうかと私が言うと、とたんにHon氏の表情が曇った。
Hon氏はきょう、深夜まで外出の許可が下りているのだろう。Hon氏、ギリギリまで私たちとの談笑を楽しみたいのだ。
それは私もそうである。あすからはまた仕事が待っている。現実の世界に戻りたくないのだ。私たちはさらに30分、談笑。それでようやくお開きとなった。
帰りはFuj氏と、京浜東北線に乗る。いろいろあったが、今回も楽しい合宿だった。…と、次の駅が「蕨」なのでビックリした。私たちは大宮方面行きに乗っていたのだ。
私たちは慌てて降り、東京方面行きを待つ。何と、次が上野行きの最終電車だ。横にはFuj氏。時刻は午前0時を回った。この言いようのない虚しさは何だろう、と思った。
(おわり)
コメント (4)
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