我、「勝手にマッカラン勝負」の賞品を買う。

脚本家の長野洋が、10月26日に亡くなった。享年78歳。
長野洋の作品といえば、「太陽にほえろ！」が有名である。中でも、昭和51年に放送された「朝顔」は印象深い。とある豪邸に通うお手伝いさんから、ある相談を受けた山さん（露口茂）が豪邸に向かうと…。
犯人は「ミラーマン」の石田信之。豪邸のおばあさん役は、戦前の名女優・岡田嘉子。のちに山村邸のお手伝いさんを務める牧野真理子も出演するなど、配役も味わい深い。
「朝顔」は、「太陽にほえろ！」では珍しく冒頭部分が叙述式で、他の作品とは趣を変える。全編にみなぎる緊張感、二転三転する展開、巧妙に散りばめられた伏線、衝撃のラストと、ヒチコックばりの最高傑作といえる。
また、いい脚本家が亡くなった。心よりご冥福をお祈りします。

今期の倉敷藤花戦「勝手にマッカラン勝負」で、中井広恵女流六段は規定の条件をクリアし、マッカラン獲得となった。
まあとりあえず、めでたいことである。さっそく中井女流六段にマッカランをプレゼントしなければならないが、中井女流六段はお酒以外の賞品を希望している、と棋友から聞いた。
そこで中井女流六段に、何が所望かメールで問い合わせたが、「いままでどおり応援してくだされば、それで十分です」と返信が来て、私は困ってしまった。
昨年は石橋幸緒女流四段が条件をクリアし、今回の中井女流六段と同様の回答だったので、GSPに１万円を納めさせていただいた。
しかし中井女流六段は理事ではないし、GSPには今年すでに１万円を納めている。やはり中井女流六段には、何かをプレゼントしたいところである。
10月27日（土）、私は新宿の伊勢丹に向かった。女性に何かプレゼントするとき、私はとりあえず新宿伊勢丹を利用する。三越でも京王でも小田急でもなく、伊勢丹なのである。
今回の予算は１万円＋α。まず、１階の化粧品売り場を冷やかす。むせるような香りだ。しかし40代のオッサンの居る場所ではないと悟る。それに化粧品の類は、個人の嗜好が大勢を占める。ましてや素人が手を出してはいけないのだ。
６月の「中井女流六段バースデーパーティー」では、スカーフを贈った。しからばこの時期、マフラーかとも思ったが、同じ巻物では、いかにも芸がない。
ハンドバッグ売り場に行ってみる。これが、目ン玉が飛び出るような値段だった。５万、６万は安い方で、10万円台の商品が当たり前のように置かれている。
中井女流六段は無類のブランド好きである。こんなバカ高いバッグを、いくつも持っているのだろうか。
予算１万円では何も買えない…。私は腕時計、アクセサリー売り場も覗くが、やはり予算１万円では、お呼びでなかった。
財布売り場に行ってみると、ピンク色のかわいい財布があった。しかし贈答用だと思うと、やはり二の足を踏んでしまう。これを贈ったら、いま使っている財布を廃棄して、これを使ってくれ、と強要するようで感心しない。
そもそも中井女流六段は何が好きなのだろう。私は中井女流六段にかなりお世話になっているが、中井女流六段のことを何も知らないのだった。
地下１階のお菓子売り場に行ってみる。しかしお菓子を１万円分買うのもどうかと思う。それにケーキの類なら、「バースデーパーティー」のときに、バースデーケーキとは別に、スポンジケーキもプレゼントしていた。
コーヒー売り場に出た。ああ、中井女流六段はコーヒーが好きだった！
中井女流六段、食後にはコーヒーを飲むそうだし、第１回「信濃わらび山荘将棋合宿」の帰りにも、みんなでコーヒー専門店に寄り、コーヒー豆を買っていた。
これなら予算内に余裕で収まる。それにコーヒーカップでも加えれば、完璧である。
しかしコーヒーにも、豆のみ、それを挽いたもの、１杯ごと小分けにされているものと、いろいろある。もちろん味も数種類ある。ここでまた迷ってしまった。
また、売り場のお姉さんがモデル級の美人で、試飲用のコーヒーをくれたりしたのだが、味の良し悪しが分からない。そうやっているといたずらに時間が過ぎていくので、決断して、焙煎済コーヒー豆を数種類購入した。ディスカウントショップなら廉価で高品質のコーヒーが買えるのに…の考えが脳裏をよぎるが、ここでは伊勢丹の包み紙が重要なのである。
続いて５階の洋食器売り場に行く。ここは私のセンスが問われるところ。しかし私のイメージするコーヒーカップがなく、妥協品を買った。
これでプレゼントの購入は完了。これらコーヒーセットを、私はきょう２日、中井女流六段に某所で渡す。そう、きょうから２泊３日で、第５回の将棋合宿なのである。せいぜい楽しんできたい。