一公の将棋雑記

将棋に関する雑記です。

三十六たび大野教室に行く(中編)

2012-11-22 00:35:32 | 大野教室
(再掲)
上手・大野八一雄七段(角落ち):1一香、1三歩、2一桂、2三歩、2四馬、2八飛、3二玉、3六歩、4四金、4五歩、7四歩、8一飛、9一香、9四歩 持駒:桂、歩
下手・一公:1七歩、1九香、2六銀、2九桂、3四歩、4八歩、5六銀、5七銀、6五歩、6六銀、6八玉、7六歩、7七金、8六歩、9六歩、9九香 持駒:金2、桂、歩4

以下の指し手。
▲――(投了) まで、大野七段の勝ち。

△4六角成▲5七銀打△2八飛▲4八歩△2四馬までの局面。▲4八歩は△同飛成に▲5八金とはじき、どちらかの大駒を取るつもりだった。ところが大野七段は冷静に△2四馬と引き揚げる。これでクサッタ。
ここで私は▲3九金△2六飛成▲1六金△2七竜▲2八歩の竜捕獲を考えたが、△2七竜のところで△3五竜と引かれていけない。次に銀を助ける▲2五金を考えたが、△同馬▲同金△同飛成の二枚換えは、上手の駒得が大きく下手敗勢。
どうにも手がなくなって、ここで私は投了した。ところが大野七段は「エッ?」と驚く。「大沢さんが優勢でしょ」。
何!?
「そうですか!? でも▲2五金△同馬▲同銀△同飛成で下手ダメじゃないですか」
「そこで▲5五銀左」
「あっ!? そうですか!?」
「△同金▲同銀は次に▲5四角の王手飛車を狙って下手十分。△4三金打は▲4四銀△同金▲5五金△4三銀▲4四金△同銀▲5四角で下手勝ち」
「ああー。そうでしたか。▲5五銀左がまったく見えませんでした。あっでも▲2五金に△5一馬と引かれると…」
「それはですね」大野七段がもったいつけて言う。「いい手があるんですよ」
そして大野七段は▲3九金と打った。
「あっ!!」
私は叫んだ。△2七飛成▲2八歩で竜が死んでいる!
「これで竜を殺すために、▲2五金を打つ必要があるのです」
うあーっ、そうか…。植山悦行七段のときは敗勢なのに投了せず、本局は下手が十分なのに、投了してしまった。何をやってるんだ…。
悔しいというか、呆れるしかないが、いくら優勢の局面でも、決め手が見つけらなければ、その局面は下手が悪い、ということではないだろうか。私は負けるべくして、負けたのだ。
3局目は、新人のKubo氏と。町道場で四段で指しているというから、強敵だ。振り駒でKubo氏の先手。横歩取り▲3四飛に、私は角を換えて△2八歩~△4五角。
これにKubo氏が▲8七歩△7六飛▲7七歩とエラく低姿勢で来たので、意表を衝かれた。ここで△7四飛▲同飛△同歩はおもしろくないと見て、私は別の手を探す。
熟慮後、私は△2九歩成と踏み込む。しかし▲7六歩△3九と▲同金の結果は、早くも後手が指し切り模様になった。ここは私に錯覚があり、持ち駒に香も加わると思っていた。
ところがこの将棋、中盤でKubo氏に一失があり、私の逆転勝ち。局後は大野七段に入っていただき、濃密な感想戦となった。
それによると、やはり私の△2九歩成が暴発だったらしい。ここは△7四飛▲同飛△同歩が正着で、後手でかしてないようでも、先手に▲8七歩を打たせているのが大きいという。この後は△7四歩~△7三桂とし、一局の将棋ではあるが後手に不満なし、との結論だった。横歩取り△4五角は定跡が整備されているが、定跡外の手を指されると、正しい応手がむずかしい。定跡に頼らず、自分の頭で考える。△4五角戦法は、それを再認識させてくれる。
ところでKubo氏は、実戦では早指しだったが、感想戦は熱心だった。ありがとうございました、と私が切り上げたのに、Kubo氏が「ここでこう指すべきでした…」と駒を動かすので、私も腰を下ろして付き合う。実戦より感想戦のほうが長かった。ここまでの感想戦好きは、駒込のU氏といい勝負であろう。
Kubo氏は家庭の事情で、連日の参加は厳しいらしいが、教室のレギュラーになる資質は十分あると見た。きょうはもうひとり新人が参加していたが、彼もまた然りである。大野教室の前途は明るい。
次は青年氏と(名前失念)。確か私の後手だったと思う。私は四間飛車を採る。少し経ってから角道を止め、青年氏は▲4五歩の早仕掛け。昭和の香りのする戦形となった。
青年氏▲2四歩。ここで鈴木大介八段推奨の△2四同角も考えたが、それだと彼は、郷田流の▲9五歩で来るだろう。それはイヤだと△2四歩と取った。
以下▲4四歩△同銀▲4五歩△同銀▲同桂△8八角成▲同玉△4五飛▲2三角△4四飛▲3二角成…と進む。
先手の8八玉型、▲2三角~▲3二角成の動きが変調なので振り飛車も指せると思ったが、それはそれでむずかしい形勢だった。
以下虚実の応酬を経て、下の局面。

先手・青年:1七歩、1九香、2一竜、3二馬、3六歩、4六歩、5六歩、5七銀、5八金、6七歩、6八金、7六歩、8七歩、8八玉、8九桂、9六歩、9九香 持駒:桂3
後手・一公:1一香、1三歩、3四歩、4四飛、5五歩、6一金、6三金、6四歩、7二銀、7四歩、8二玉、8四歩、9一香、9四歩 持駒:角、銀2、歩3
(▲2一飛成まで)
(つづく)
コメント (2)
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