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週刊ポスト “急増「高齢者エイズ」の信じられない感染源”

2011-06-03 | 毎日いんふぇくしょん(編集部)
編集長、明日は国際フォーラムで、HIV検査の話をします。
ときどきこのテーマで講義依頼があります。



メディアがエイズの話題をほとんど扱わなくなって久しいですが、定期的な感染者数の発表をもとに記事を書いてくださるところもあります。問題はその着目点と伝えかたなんですが(^^;)

週刊ポストが「急増「高齢者エイズ」の信じられない感染源」という記事を載せています。

高齢者の感染者が増えている、ということと、感染した人が高齢化している、という2側面があります。

何が「しんじられないっ!」なのでしょう。
ZAK ZAKをみてみました。

「日本でも勃起不全治療薬は流行している。専門家は、それに伴い、不特定多数との浮気や風俗に通う高齢者が増えているのではないかと分析する。」

専門家って誰だろう・・

疫学データをみれば「浮気」とか「風俗」という発想にはいきなりいかないですけどね。

「思い当たるフシは確かにあった。3年前からバイアグラを服用するようになり、“自信”が持てるようになったことから、風俗店に何度か通っていたからだ。高級店だったため、「性病などのチェックもしっかりしているだろう」と思い、コンドームなしで挿入していたという。」

コンドームなしでセックスしてたらHIVだけでなくクラミジアや淋菌などにも出会いますよね。

コンドームつけてても梅毒やヘルペス、コンジローマはうつっちゃいますしね。

また、検査でわからない時期もあるし、すべてわかるわけではないし、ノドは検査していないかもしれないし、安全なお店なんてないですよね。
でも安全だとおもいこまないとつらいですね。

「風俗店も(略)高齢者の中には、ゴムを付けると勃起しにくくなるため、ナマでの挿入を求める人が多い」(風俗店経営者)という事情もあるようだ。」

います。つけようとあわてているとなえちゃうひと。

中高年は「中折れ」も課題。

途中でコンドームがずれちゃうことがあります。(新しいのをつけなおします→たいへん)

60代は性行動が活発な人はいますし、ED薬はアクセス可能ですし、産業も存在しますし、コンドームは使う人も使わない人も使えないひともいます。

・・・どのあたりが「信じられないっ」のかわがわかりませんでした。

もしかして記者さんはお若くて、こんな年齢でも「するんですかっ?」って驚いたのかな、と編集部内で話し合いました。

編集部的には、風俗経由で女性から感染してくる人はあまりいないため、「えっ女性から感染?」ということですかね。驚くとしたら。

もちろんいますよ。じわりじわりと、女性に広がると、一般人口に拡大します。
予防の手を緩めれば感染症は拡大します。

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2 コメント

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ソースはどこからなんだろ? (傍観者)
2011-06-04 13:49:55
リンクしてあったZAK ZAK、読んでみました。
「さらに、60代の新規感染者が増加しているという意外な実態も明らかになった」って、
どこからの情報なのだろうか。
5/23に発表されたのは
2010年の年報の概要と委員長コメントだけ。
ここにはどこにも「60代」という表記はない。

さらに同日付で発表されている
2011年第1四半期に関する報告にも
「60代」の表記はない。ここでは50代以上
でまるめられたもののみ。

そもそも例年発表されている年報の
年齢階級別集計は60代「以上」。
まあ、これは枝葉末節揚げ足取り的なこと
ですが。

2010年の年報の詳細は
7月下旬公表予定とのこと。
現場取材 (編集部)
2011-06-13 11:18:32
雑誌の記事は医療関係者や公衆衛生関係者を取材しているようです。
(記者さんが最初から書きたい方向性などが明確な場合、情報はその裏づけになるようなかたちで書かれてしまいますが)

感染症の数字は、大元の行政が出しているところに立ち返って考える必要がありますね。