感染症診療の原則

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"super-toxic"

2011-06-03 | Aoki Office
"super-toxic"とよぶ専門家も。

ドイツでのアウトブレイク探知からはじまったヨーロッパに拡大中の病原性大腸菌は、旅行者を通じて米国まで拡大中。

6月2日、日本の外務省も旅行者に対して注意喚起をしたそうです。
CIDRAP情報から。

6月2日の時点で、WHOは1614例をカウントしており、1115例はEHEC感染、499はHUS。その88%が成人症例。

死亡は今日までに全体で18例まで死亡をかぞえています。

米国では現在3例がHUSで入院中(旅行先での感染がうたがわれています)。

Eurosurveillance最新号によると、ドイツにおけるHUS症例のピークは5月16日の時点で39例。以後減少傾向。
しかし、WHOは昨日までのドイツのHUS症例は470で、前日より97例増加と報告しています。

(症例定義はコッホ研究所の資料を参照)

複数の調査介入が行われているものの、感染源に関するあらたな知見は得られていません。
(まれなタイプの大腸菌O104:H4)

ケースコントロール調査では、ドイツ北部で売られているキュウリ、トマト、レタスが感染源として検討されています。
しかしどの野菜からも菌は検出されていません。

中国の遺伝子研究所BGIとハンブルグの研究所が共同で行ったシークエンスの結果、新規の super-toxic E coli だと発表。

今回の株は、93%、中央アフリカ共和国で流行している型との相同性が確認されています。
"hemorrhagic colitis"とHUSをひきこしやすく、この株は複数の抗菌薬の耐性遺伝子を獲得していることも指摘されています。

CDCのDr.Tauxe は今回の菌株は1990年代に29歳の韓国人女性からとれたものと関連性を指摘。

どうしてそれが遠く離れたドイツ北部に再度あらわれたのか?

調査がすすめられています。

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