感染症診療の原則

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この20年、進歩が体感できないもの

2012-01-23 | 青木語録

調度、帰国して20年になる・・と先ほど気づきました。日本での診療を再開し、戸惑う事のひとつに「臨床微生物学的世界の違い」とでも言うのでしょうか、ともかく必須と思われる微生物検査が得られない事がありました。

何か抗菌薬の種類ばかり、やたらに多いが、他方で腸球菌のアミノグリコシド耐性が簡単にできない、とくに臨床的に問題になるウイルスの検出が直接出来ず血清検査くらいしかない・・といった事で戸惑ったものでした。具体的にはヘルペスウイルスの仲間などはEBVなどをのぞき基本的にはウイルスそのものを捕まえるのではなかったかな・・80年代から。

さて今朝のお勉強は市中肺炎の原因としてウイルスをScreeningする話でした。(まだ去年のICAACのDVD見てます・・トホホ)
PresenterはMarin H Kollef先生(Washington大学だから本田仁先生などはご存じでしょうね・・)

肺炎がウイルス性である事を確認する事によりウイルスの流行の様子など疫学的な情報を得る、集団発生などの検討に用いる・・などといった内容です。なによりも「不要な抗菌薬の使用を防いだり中止する事が可能」といった抗菌薬使用に関するStewardshipにも有用。BALなどでウイルスを検出し、細胞もリンパ球優位ならば(更にProcalcitonin陰性なら)抗菌薬を早めに中止できます。

「青木先生、腸球菌のアミノグリコシド高度耐性の検査依頼など現場から来たことないですよ・・!!」と検査室の某先生。「このような検査が現場で必要だ!」といったRequestを検査室に投げかける事も臨床サイドの重要な役目だな・・と改めて思わされます。
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