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Once Infected, Always Infected

2011-02-14 | 毎日いんふぇくしょん(編集部)
佐賀県の結核関連ニュース。

Once Infected, Always Infectedの結核菌ですが。
高齢になって免疫が低下、免疫が下がるような医療介入によって、ハイリスク人口は増加していきます。

医学生や研修医の皆さんは、自分が、あるいは自分の所属する施設(実習や勤務先)でいつでも結核事例に出会う可能性がありますので、鑑別診断や治療だけでなく、保健所との連携の仕方、周囲のケアについて体系的に学ぶことをオススメします。

結核の勉強会のときは、臨床医の症例の話だけでなく、保健所の医師や保健師にお願いして公衆衛生としての結核の話などもしてもらうといいですよ。
顔見知りになっておくと、他の案件でも相談の敷居がさがります。

結核で8人集団感染―嬉野市の2病院、受診者は健診を(47ニュース)

ニュースは、接触者検診を呼びかける意図もあるようです。

全体としては、入院患者と病院職員8人が発病し、3人が治療。

まず、2009年8月に結核を発病。この時点で保健所への届出や接触者の健康診断などがはじまっているのではないかと想像します。

2010年5-9月に福田病院の入院患者3人と病院職員1人、ふくだクリニックの入院患者1人が発病。

「県健康増進課は報告を受けていたが、患者のほとんどが高齢者だったため、保菌者が単独で発病したとみていた。」

最近はここで分子疫学的な検討が行われたりもします。
one point sourceから広がったのか、個別の事例なのか?です。
判断に迷うこともあります。

2010年12月に病院の20代の職員が発病して調査開始。
2011年2月3日に40代の職員が発病。

「両病院間で患者の交流もあったことから、集団感染として国に報告」

疫学調査は今後の再発防止や迅速対応に役立てるための知見を得るために行われますが、研究費をもっているところは別として、病院や保険の範囲ではできません。
このため、公衆衛生ラボである地方衛生研究所の支援が必要になります。
予算厳しい昨今ですが、職員や予算の確保・維持は重要です。
(新型インフル騒動を思い出しましょう。平時から充実していることが重要です)

東京都
結核集団感染の分子疫学的解析におけるArbitrarily Primed PCR(AP-PCR)法の有用性
福島県
福島県内の結核菌の分子疫学的調査研究―結核菌のRFLP 法による分子疫学的解析


学生さんは、保健所での実習でも学べるといいですね~。
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