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さらに増加:米国O157アウトブレイク

2006-09-20 | 青木語録
(続報紹介)最初の症例が8月2日、対応が遅いというような指摘も出ているO157アウトブレイクです。19日のFDA発表が英語メディアにのりはじめました。シアトルの食中毒専門弁護士(ってそんなスペシャリストがいるんですね・・・)のWilliam Marlerは今回のアウトブレイク犠牲者30名の代理人であり、このうち11名は腎不全となっているとのことです(訴訟の動きはすばやい・・)。
■週明けに114だったケースは、19日発表時点で21州から131ケースと拡大中。入院は66、うち20症例がHUSに。
■77歳の女性の死亡が確認され、現在はオハイオで死亡した1歳11ヶ月のケースが今回のアウトブレイクに関連してのものかを調査中。
■全体の73%が女性、5%がこども。
■9月14日にFDAが社会に警告を発した当時の50症例から現在は倍以上の規模に拡大中。
■約7日の潜伏期間を経て発症しており、新規の報告は今週末から減少の見込み。
■症状は毒素によるbloody diarrheaとabdominal cramps、発熱はみられず、多くは5-10日で回復している。
■今回の病原性大腸菌のアウトブレイクは米国史上最大規模となったが、特にHUSとなる症例の多さに関係者は注目。
■発症している人に共通するのはホウレンソウを食べたことで、現在は約20ある包装ホーレンソウブランドのうち、2社が自社商品を回収中。
■調査団は9つのホウレンソウ農場を調査中。
■FDAは生のホウレンソウおよびそれが含まれたサラダ等を食べないように警告
■CDCは菌は洗っただけではだめで(表面付着だけでなく細胞内に入れるので)、160度で死滅するので「沸騰したお湯で15秒ゆでる」こと、しかし炒めただけでは加熱不十分であること、冷蔵庫で保管する場合は他の食材が汚染しないよう、また触った手にも注意し、表面は石鹸をつけてお湯でよくあらうこと、と警告。
■ホウレンソウを食べた後に下痢をした人は最寄の医療機関を受診し、便を検査して報告するようによびかけている。
FDAのチーフメディカルオフィサーDavid Achesonが火曜日に語ったところでは、
"One possibility is that this is a virulent strain."
"The other possibility is that other cases will surface that do not have HUS."
"Probably, we have a single location that further contaminated large volumes of spinach"・・・です。
http://www.cidrap.umn.edu/cidrap/content/fs/food-disease/news/sep1906spinach.html
コメント (2)    この記事についてブログを書く
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2 コメント

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エンド (ルフィン)
2006-09-20 22:22:37
以前にO157がはやった時にバイオテロとの関連が懸念されましたが、そうでなければいいのですが、、、
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冷蔵庫から (感染症ナース)
2006-09-21 07:18:09
テロも考えなくてはならない時代ですね・・・。

ワシントンポストによるとアリゾナとコロラドが加わり23州、146ケース(入院は76)。ニューメキシコの当局が発症した患者さんの自宅冷蔵庫のホウレンソウから今回と同じ菌を確認したようですね。

"The New Mexico laboratory completed "DNA fingerprinting" tests late Tuesday, and state and federal officials then matched it to the strain of the bacteria _ E. coli O157:H7 _ implicated in the outbreak"

米国内のホウレンソウの4分の3をカリフォルニア州が作っていることなどは今回のニュースではじめて知りました。レタス業界が安全キャンペーンをはじめています。
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