感染症診療の原則

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追加です 【Q&A】 林先生 正しくビビろう!ERのPitfalls!

2013-09-21 | 若手医師セミナー
ご多忙な林先生。ですがー
すばやくQ&A原稿がかえってきました。
お忙しい中ありがとうございました。

本資料は、講義に参加したことを前提として書かれています。
他の案件に必ずしもフィットすることではないことも多いので、活用される場合はその方の判断でお願いいたします。
講師も当編集部も責任はおえません。よろしくお願いいたします。


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Q:
救急現場にて医療診断を棚上げしても対処しなくてはならない事態があります。今回、思考過程を記録にとどめることの大切さをうかがいましたが、問診や鑑別診断でどのように均衡をとればよいのでしょうか? またそのような家庭も克明に残す必要があるのですか?

A:
すべてのカルテに詳細に思考過程やdispositionを詳細に書くのは無理があるでしょう。今回のテーマの如く、high risk diseaseは何か?high risk patientsはどんな患者か?をきちんと把握し、感じ取ることが重要で、それに当てはまる場合はカルテ記載やdispositionに気を使うと良いでしょうという主旨でお話させたいただきました。


Q:
「うわぁ~」激痛を訴える片麻痺の65歳男性(大動脈解離)
確かに大動脈解離が積極的に疑われますが、二次性の心筋梗塞も考慮するとやはりECGは造影CTよりも先に施行されるべきではないでしょうか?

A:
心筋梗塞で片麻痺になるのは非常にショックを呈する場合以外非常に稀かと存じます。この症例は高血圧でかつ急激発症の片麻痺であり、頭部CTからのアプローチが妥当かと思います。その上で頭部CTが正常だった場合は大動脈解離を考慮するという思考過程となります。ECGで心筋梗塞を見つけたとしても片麻痺の説明がつかないので更なる検査が必要になるでしょう。


Q:
透析中の患者の高K血症についてメイロンは重要でないとのことでしたが、透析中は代謝性アシドーシスになりやすいと思うので、やはりHCO3-の投与は重要だと思うのですが、いかがですか?


A:
代謝性アシドーシスの場合にはメイロンは効果があります。ある程度メイロンを投与されると、代謝性アシドーシスが補正されてしまい、その上盲目的にメイロンが追加されてもまったく効果がありません。高K血症では不整脈が原因で死亡し、薬理学的に速効性があり膜安定化作用のあるCa製剤をまず第一に使う必要があります。また代謝性アシドーシスの有無に関わらず強力にし細胞内にKを移動させるのはインスリンであり、グルコースインスリン療法をすぐに準備すべきです。メイロンの位置づけやエビデンスは今ではかなりランクが下がっています。


Q:
腹痛でCTを撮る基準が知りたい。

A:
今回はそこまで話は広げていませんのでご勘弁を。
羊土社から「あの手この手で攻める! 腹痛の診断戦略~解剖学的アプローチから落とし穴回避のワザまで」 (救急・ERノート レジデントノート別冊) 2013年2月発行 (2013/2/9)
ISBN-10: 4758113483
を出しました。別冊なので私の印税にはまったく関係ありませんので、変な宣伝をしているすつもりは全くございませんが、実際的な腹痛のアプローチ法を解剖学的に、かつ機能的に解説しました。ここに腹部CTの適応や腹部CT読影コツなども記載しましたので、ご参考にしてください。


Q:
救急外来で自分が初期対応&カルテ記載して指導医にチェックしてもらった際に、カルテのサインに「自分の名前/指導医の名前(代筆)」となってしまいます。指導医のサインを研修医が代筆するてありですか?

A:
ダメです。研修指導委員会にかけて十分議論してもらってください。指導医が「忙し過ぎてそんなことできない」ということで、委員会として『研修医の代筆でいい』ということが決定され、文書化されて残れば、それは院長命令になるので研修医に被害が及ぶことはないでしょう。漫然と研修医が指導医のサインを代筆するのはリスクマネージメント上「アウト!」です。


【ここから追加】
Q: 研修医1年目
ACSの嘔気・嘔吐の症状の身を訴える患者を見つけるためには多くの患者に
ECGを施行しなければいけないと考えられます
先生がこの場合はECGをとらない、というケースの基準があれば教えてください


A:
ECGは比較的安く、リスクヘッジをする意味はあるでしょう。
女性は見逃されやすくかつ非典型例が多いのでECGはとります。

他の診断が確定的な場合(明らかに水様下痢が頻回に続いている場合など)や
リスクが低い場合(若くて健康な人、勿論コカインなどもしていない、家族歴もOK)
ならむしろ心疾患以外を探しに行きます。

ECGをいかに取らないを考えるより、いかに必要性があるかのリスク評価を
念頭に置いて診察する方がいいでしょう
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