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ICAAC2014 Online 重症感染症診療の進歩(Session 206) #2

2015-06-29 | 青木語録
ICAAC2014 Online 重症感染症診療の進歩(Session 206) #2
Progress in the Management of Severe Infections

演者はWerner Albrich先生で続きます。
演題は「ICUにおける抗菌薬の開始・中止 バイオマーカー 対 臨床的判断」でしたね・・。
前回はPCTなどのバイオマーカーのイントロでした。

#:敗血症のバイオマーカーに関する論文は発表時点で178件
・結論は・・:どれも感度、特異度でルーチンの使用に耐えない。
・最も多用されているのはPCTとCRPだが、これらも敗血症と他の炎症性病態との区別が難しい。多くの偽陽性、偽陰性が・・


#:敗血症におけるバイオマーカーとしてのPCT
・基本的にはPCTは「抗菌薬の開始」と「抗菌薬の中止」の役割が検討されている。
・「抗菌薬の開始」の役割は駄目みたい。
・「抗菌薬の中止」(=治療期間を短くする試み)は良い感触。

1)長所
・最も研究されたバイオマーカーである。Gold standardの無いこの業界でRCTがある。
・肺感染症では良い感度・特異度
・抗菌薬の中止(治療期間の決定に有用)
Micek ST, Ward S, Fraser VJ, Kollef MH.
A randomized controlled trial of an antibiotic discontinuation policy for clinically suspected ventilator-associated pneumonia.
Chest. 2004 May;125(5):1791-9.
PMID: 15136392

・スペクトラムのdeescalationは良いかも。少なくとも悪くなる証拠は無い
・継続的な数値のFollowは予後を占うのに有用かも・・

2)短所
・カットオフ値で偽陽性、偽陰性が沢山・・
・RCTでコントロール側の抗菌薬使用時間が異常に長すぎ(不公平)
・プロトコールに対するComplianceが悪い
・ランダム化前の除外数多すぎ(4-8割)
・スペクトラムのescalationには向いているか不明
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