感染症診療の原則

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予防接種すると何が問題か 

2010-07-15 | 毎日いんふぇくしょん(編集部)
編集部です。
質問がたくさんコメント欄にきていますが、個別Q&A対応していないのと、情報も研修医・医学生が感染症の勉強をする上での切り口や小ネタ紹介が目的ですので、すべてを反映・回答できません。いただいた質問や意見のうち、今後、医学生や研修医・医療関係者が知っておいたらよさそうなことについては、後日記事を書くときに参考にさせていただくかもしれません。あしからず。
(予防接種に限らず、個別の問題は主治医と相談が基本です)

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予防接種をしないと何か問題?のつづきです。
予防接種全部がイヤな人、よくわからないので勧められたものは全部しときます、無料ならやるけど有料なのはやらない、という人、リスク&ベネフィットベースで取捨選択している人といます。

つまり、予防接種のスケジュール表をみて、●●は接種するけど、▲▲は接種しない、です。
(根拠を自分で探して判断出来る人たち)

例えば、感染症に詳しいドクター夫妻などは、国の定期の予防接種リストにあって接種しないものの例にポリオ(生ワクチン)、BCGがあります。
ポリオワクチンは、IPV(不活化)を輸入して接種してくれるクリニックを探して出かけます。

詳しい人たちが、国の定期接種に入っていなくてもするものに、B型肝炎ワクチンがあります。
世界では生まれてすぐに接種を始めるワクチンですが、日本は流行国なのに任意枠のままです。

えー全員にはいらないのでは?!という意見もありますが、保育園や幼稚園など集団生活に入る前にはしたほうがよい、思春期層で性行為が始まる前にはメリットを説明したほうがよいのではないか、といった意見が聞かれます。

意見が分かれるひとつにA型肝炎ワクチンがあります。途上国に行くときでいいのでは?という人と、海外に行かない人たちの間でもアウトブレイクするのだから、機会があったらしたほうがよいのでは?という人もいます。

と、このような話を紹介すると、詳しい人たちだけいろいろ考えてズルイともいわれます。
そしてネットで情報を探すと「親切な説明がみつからない。反対派の情報に曝露することになる」とのことです。

その情報を読むとわかるのですが、予防接種をすると害がある、と信じている人たちは一定数おり、なんとなく思っている人もいれば、説得された人、根拠を探して考えて納得してそう思っている人もいます。
なぜそう考えるにいたったか。予防接種を勧める側の人たちがその概要を知ることは重要だと考えています。

最近話題のHPVワクチン(巷では“子宮頸がんワクチン”ともいわれています)。
mixiやtwitterなどでも「不妊になる」ということで警告メッセージ(?)が多数流れているそうです。
その根拠はアジュバントとされています。また、認可のプロセスや宣伝のされ方などにも疑問を感じる人たちがいます。

専門家かからしたら「そうじゃないよ」という話も当然あるのですが、一般医療者以上に調べて考えているのでは、、、と思うところ多々あります。
素人のワクチン危険警報
http://blog.livedoor.jp/akito3ta/archives/51868219.html

感染研や自治体の衛生研究所などに、親切な啓発・教育コンテンツが充実しないと、困って探して出会う情報はとても限られているということです。

話はとびますが・・・

もしも妊娠しないようにできる注射などがあったらそれはそれですごい。「もう3人産んで、このあとは妊娠の恐怖なくすごしたい」という人たちにニーズがあるかもしれません。そんな作用をもたらす薬剤は現在ないんですけどね・・。
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