感染症診療の原則

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感染症 と アート

2012-05-14 | 毎日いんふぇくしょん(編集部)
市民講座等で感染症の話をするときは、最近のニュースよりも、歴史エピソードなどが好まれたりします。

もっとも、現在の高齢者の方は、麻疹でこどもが死ぬのを見聞きした経験のある世代ですので、こちらがお話をじっくり聞き入ってしまうこともしばしばです。

(チャンスがあったら、ぜひお話をきかせてもらってください)

昔、どのような病気がはやって、人々や生活にどのような影響を与えていたのかは、歴史学、人類学、特に医学系のこの分野の先生たちが記述をされています。

いーびーえむ、とか さーべいらんす、とか ぱぶめど もない時代でしたが、感受性者が地域に蓄積されたころ、大流行を繰り返していたことがわかります。

そして、麻疹は死亡リスクが高いこと、天然痘は回復した後に美容上の問題が残ることも知られていました。

「麻疹は命さだめ」なわけですが、 「お父さんのための なるほどワクチン講座」ファイザー提供 こどもと肺炎球菌.jp に中山先生が紹介されているエピソードは、感染症についてイメージが持てない人にもわかりやすい内容だと思います。

現在も麻疹そのものの治療法はありません。


文章ではなく、彫刻、壁画、絵画から学ぶこともできます。

こちらはPDFで公開されています。奈良、です。
「奈良時代前後における疫病流行の研究―『続日本紀』に見る疫病関連記事を中心に」

次、平安時代は「異本病草紙」

「《病草紙》は平安時代末期から鎌倉時代に制作された絵巻物で、当時のさまざまな病気や治療を絵画化した非常に珍しいものです。名古屋の関戸家に伝わるもの(国宝)と模本で伝わるもの(現在は《異本病草紙》と呼称されている)の2種類があります。
古径はこの《異本病草紙》を写すことによって古典絵画の技法や当時の生活・風俗を学習したことがうかがえ、知られていなかった古径の画業の一端を知ることができます。」

展示を見た方の感想(新潟県)。

"今回の展示会で非常に面白かったのが、平安時代にいろいろな難病、奇病を絵巻物にした「異本病草紙(やまいぞうし)」を、古径が模写したもの。なんでも古径がこの絵を模写して勉強したという。
病草紙とは、初めて聞いた。平安時代にさまざまな難病、奇病を集めて絵巻物にしたてたものだそうで、展覧会には古径が模写して勉強した50点ほどが出品されていた。眼病をなやみ、祈祷師におはらいをしてもらっていたり、金玉が腫れてでっかくなっていたり、これがおもしろいんだな。"


江戸時代の「錦絵」

当時、麻疹のときに食べてよいもの悪いもの:食べてよいものは、、かんぴょう、だいこん、かたくり、古たくあん。ダメなのは、川魚、ねぎ、こんにゃく、そらマメ。

なんでそう考えたのだろう(仮説)とか、考えながら、人々がなんとか子どもを救おうとがんばっていた時代を想像します。

江戸の流行り病: 麻疹騒動はなぜ起こったのか (歴史文化ライブラリー)
吉川弘文館
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