感染症診療の原則

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デング熱とメディア と その周辺

2014-09-05 | 毎日いんふぇくしょん(編集部)
9月4日は「代々木公園の蚊を調べていたらデングウイルスが見つかった」という報道発表があったそうです。

モスキートトラップの成果であり、感染源がわかり、全体の説明がつくようになって整理されてよかったのではないかとおもいます。
(医療機関にとっては9月3日までは少なくとも「この近辺に行った」が参考になります)


全然皆目見当もつかず、、、だとインターネットではすぐ虫よけ剤を売る会社の「陰謀論」とか、
世界転覆をたくらむ某団体によるバイオテロ説がでてきますし、
最近みていたら「放射能のせい」というのもありました。

風疹の流行もエボラもデングも被ばく被害を隠すための政府のたくらみだ!というTweetが本気モードで
リツイートされていたりします・・。

記者も何を書いていいのかわからず困っていたようですが(蚊のことはその分野の専門家にインタビューをすればいいんですよ)

「何をしたらいいんでしょう?」(今までも蚊とliving togetherだったじゃないですか。新たにしたいことがありますか・・・あなただったら、それしますか)

温暖化等とセットで語りたい場合、勉強するためには環境問題の専門家のところにいくのがよいのではないかとおもいます。


環境省のこの資料の7ページ下にデング熱についての予測は書いてありますし、
感染研の昆虫医科学部の先生たちの2005年の資料等からも学べます。

"デング熱は東南アジア、中南米、南太平洋諸国を中心に流行がほぼ毎年のように起こっており、1998 年および 2001-2002 年にかけて世界的な大流行が起こった。媒介蚊は主にネッタイシマカおよびヒトスジシマカで、1942 年には、大阪、神戸および長崎市を中心にヒトスジシマカが媒介したデング熱の流行が起こり、10 万人以上の患者が発生したと言われている。"

"我が国におけるデング熱の流行は、第2次世界大戦前の 1931-1933 年に沖縄、和歌山等で流行が報告されている。
1941 年に世界大戦が始まり、翌年には戦域が拡大し、南方と本土を軍用船、商用船等が頻繁に行き来していた。このような状況の中で、1942-1943 年にかけてデング熱の流行が長崎、大阪府、兵庫県等で起こった。
患者発生数は当時の厚生省予防課発表では17,554 人で、その内訳は長崎 13,323 人、大阪府 795 人、兵庫県 1,357 人、沖縄 1,985人他である。
しかし、実際の患者数はこれの5-10倍と推定されている
さて、この大規模な流行の背景としては、長崎港に入港し、原因となって軍用船(マレー半島発)がある程度特定されており、神戸港においても入港した御用船(南方発)との関係が指摘されている。患者の多くは乗組員、荷役従事者、船員家族等であるが、ウイルスを持ち込んだ患者が帰還する船の中で感染した可能性も指摘されており、デング熱の潜伏期の問題と関係して未可決な問題も存在している。日本各地での流行においては、ヒトスジシマカが媒介蚊であった。"

"このように、我が国において、デング熱媒介蚊が存在し、流行が起こりうることが歴史的に証明されている"


蚊が許せない!なら殺モスキート計画をご自身でするか働きかけるしかないですし(成功した国はありません)
感染させない、ゼロリスクにしろ、という場合は鎖国ですし(手遅れかもですが)
発症した人が悪いというなら人権問題につながりますし(対策の逆向きですね)
検査がどこでもできないのは問題だ、ということなら予算や技術をどうこうするロジを示していただきたいですし(優先順位の根拠が必要ですね)
代々木が代々木がというと風評被害になりますし(ほかの蚊のいる地域から報告されても人口密集地帯なら不思議はないですし)

デングだけに熱くなっている間に、他の重要な感染症の取材は全くされていないようですし(今週はエボラワクチンの試験がはじまりますよ。忘れらているみたいですが)

寒くなって長袖着る人が増えると刺される人も減りますし、ハートも温まって落ち着くのかもしれません。

メディアには海外に行く人は出発前に厚労省検疫FORTHで「現地の健康関連情報」外務省の海外安全情報ページを見ることを啓発していただけたらと思います。
各国に「デング熱注意」とあっても、出発前に虫よけやモスキートネット(蚊帳)のことまで考える人はあまり多くないのが現実です。
でも、レストラン情報やお天気情報と同じくらい重要だと思いませんか?


やみくもに騒ぐと不安をあおられた人たちが困る事態もおきます。



「海外渡航歴がないのに日本でもデング熱! ホメオパシー的予防とデング熱に合うレメディーについて」

「JPHMAホメオパシー新聞編集部から、エボラ出血熱について、由井会長にホメオパシー的対処につき見解を求めました。」

デング熱のレメディー

罹ったらどうするか。もちろん、レメディーで罹り切りましょう


対策は以前から行われていますし、この機会に蚊に詳しくなるべく勉強会などにも参加されてはいかがかとおもいます。
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