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ICAACOnlineの学び 生殖器・泌尿器領域感染症のアップデート #2

2014-08-09 | 青木語録
ICAACOnlineの学び、本日も「生殖器・泌尿器領域感染症のアップデート・Update in Genitourinary Infections」です。

講師の先生はNew ZealandのDeborah Williamson先生

#:Prostataitisの分類
・急性細菌性、慢性細菌性の前立腺炎
・慢性前立腺炎・Chronic pelvic pain syndrome(要は感染症か?)
・・炎症性、非炎症性に分類
・無症候性の炎症性前立腺炎(馬から落馬的概念・・?)

1)急性前立腺炎
・年齢は60歳以上と20-40代にPeak(恐らくMSM)
・原因菌はEnterobacteriacea、大腸菌がほとんど

2)慢性前立腺炎
・一部の急性前立腺炎の合併症(5%)
・同じ細菌による再発性尿路感染症の表現
・原因微生物は急性のそれと同じ。
・診断は教科書にある4Glass test(前立腺をMassageする前後の白血球数、細菌の検討)

#:前立腺炎の治療
・向いている抗菌薬は前立腺へ移行が良好で、脂溶性で、タンパク結合の程度が低くて、分子量が小さくて・・>>FQが多い。Fosfomycinも検討の余地あり。
・慢性細菌性前立腺炎のReview:Cochrane Aug2013のPerletti Gら、によると
・・どのFQも同じで有用。他のFQ以外の抗菌薬の優劣は??。最適な治療期間は不明。

#:前立腺生検後の前立腺炎
・耐性菌が多い<<もともと泌尿器的問題多く、抗菌薬の曝露も多いからだろう
・とくにAmoxicillin、Gentamicin、Ciprofloxacinといった予防投与に使われるやつに耐性。また更にST131という問題のタイプ
・明らかに生検と無関係の尿路感染症の株とは異なる。生検関係の株は耐性強く、病原性は低い傾向。
・重症化しやすく1/4の症例はICU行き。
・特にFQ耐性菌のリスクには、FQの使用歴、以前にFQ耐性菌の感染症の既往、インドへの旅行。
・ESBL産生E.coliによる生検後の菌血症の報告も Williamson DAらBritish J of Urology 2012;109:21-24
・生検前の抗菌薬の使用は大事。Zani EらのCochrane ReviewではFQの使用が良いという事になりました。
・治療期間が長いと良いというDataは無い。数日、何回も投与が1日、1回投与より良いというData無し。
・Routineでは不要だが、場合によっては生検前の耐性検査が必要かも。また・・
・今後、耐性菌の心配がある場合に本当に生検する必要があるか吟味する必要が出てくるかも。生検>>敗血症>>治療薬無し・・・では困る。
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