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日本におけるHPVワクチンの承認にむけて

2008-01-09 | 毎日いんふぇくしょん(編集部)
HPVワクチンはすでに80カ国以上で承認されていますが、日本は現在臨床試験のデータ収集の最終段階で、年内に承認申請にむけて動くというニュースが産経にありました。
メルク(万有)のガーダシル(4価)、GSKのサーバリックス(2価)です。

3回接種で、合計4万円弱しますが、経済的評価/生産年齢女性の健康へのインパクトの大きさから先進国の多くは日本で言うところの「定期接種」に位置づけ、本人・親が接種そのものを拒否をしなければ公費でカバーされるようになっています。

IDSAなどでもセッションがいくつもありましたが、日本ではどうでしょうか。
性感染症学会では米国の専門家が講義をしていました。
感染症系・ワクチン系・公衆衛生系・産婦人科系の学会/専門家はアドボケイト活動や承認後の適正な普及のための活動をするのでしょうか。

実際の接種可能年齢は幅広いのですが、一斉接種は中学1年相当の年齢の女子が(今のところ)対象になっています。ワクチン接種の決定は本人と保護者が関与します。日本だと小児科なのか産婦人科なのか、ワクチン外来のような特殊なところなのか。任意接種だと接種率はあがらないだろうというのが多くの人から聞く意見です。若年女性の子宮けいがん検診率が15%前後なので、それも問題です。

芸能人が乳がんを公表すると乳がん検診率があがるそうです。
ワクチン関連のニュースでそういった影響も多少期待できるでしょうか。

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子宮頸ガンの「予防ワクチン」年内にも承認へ(1月8日)

世界で若い女性のがん死因の2位を占め、日本でも20~40代で増加中の子宮頸(けい)がんで、外資系製薬大手が申請中の予防ワクチンが早ければ年内にも承認される見通しであることが7日、明らかとなった。子宮頸がんはウイルス感染が主な発症原因。ワクチンは世界80カ国以上で承認されて若年層に予防接種の取り組みが始まり、日本でもようやく「予防できるがん」の道が開けそうだ。

 日本で子宮頸がんの予防ワクチンの承認を申請しているのは、英グラクソ・スミスクライン(GSK)と、米メルク子会社の万有製薬の2社。それぞれ昨年の9月と11月に申請した。ワクチンの製造元は世界でもこの2社だけだ。

 GSKと万有製薬が申請中のワクチンは、約7割のHPV感染を予防するという。2万人以上を対象にした海外の臨床試験で5年間感染を防ぐことが確認されている。06年6月の米国をはじめ各国で承認が相次いだ。米国や豪州では、保険未加入の子供や12~26歳の女性が無料で予防接種を受ける制度を導入ずみだ。

 GSKによると、子宮頸がんは45歳以下の女性のがん死亡原因では世界で2番目に多く、毎年27万人以上が死亡している。

 日本では毎年約7000人が子宮頸がんと診断され、約2500人が死亡、特に20~30代の発症率の増加が顕著だ。国立がんセンターの人口動態統計がん死亡データでは、対人口10万人の年齢別死亡率を昭和60年と平成17年で比べると、20代後半は5・0倍、30代前半は1・8倍、同後半は2・2倍、40代前半は2・0倍と増加傾向にある。

 2社は日本人の治験データを収集中で、年内にも提出する見込み。厚生労働省は「国内データがそろい次第、各国で承認が相次ぐ状況を視野に慎重かつ迅速な審査をする」とし、近く日本でもワクチンが導入される見通し。

http://sankei.jp.msn.com/economy/business/080108/biz0801080046000-n1.htm

http://release.nikkei.co.jp/detail.cfm?relID=177475&lindID=4

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HPVワクチンの普及啓発、子宮ガン検診率向上の勉強会が開催されます。
第1回目は2月23日(土)午後に都内で予定しています。関心ある方はidconsult@goo.jpへお問い合わせください。※yahoo等の無料匿名可能アドレスは受信制限がかかっていますのでご注意ください。
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