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便のドナー?(繰り返すCDIへの一案)

2009-08-28 | 毎日いんふぇくしょん(編集部)
来月HAICSの研修でオランダにでかけますが、現地で聞いてみたい話のひとつになりそうです。

ユーロの最新号で興味深かったのは、オランダからのクロストリジウムディフィシル関連のレポートです。繰り返すCDI症例への対応をどうするのか?

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CDIの再発が問題になっている。
初回のときはメトロニダゾールおよび経口バンコマイシンへの反応もよいが、2回
目以降の治療失敗がくりかえされる傾向にある。

代替治療薬の不足から、患者と医師にとって重大な問題となっている。

多くの治療ガイドラインは、経口バンコマイシンの投与延長 and/or テーパリングを推奨しているが、エビデンスにもとづいた戦略は不足している。
免疫グロブリン、ワクチン接種後の牛からとった乳清(ホエイ)、整腸剤、他の抗菌薬の効果は不明。

パブメドやgoogleで検索をすると16の文献がヒットする。
1958年より、便の注入が繰り返すCDIの治療として試みられ報告されている。

腸内細菌の再生は長い間患者の回復に寄与すると考えられてきた。
文献によると、健康なドナーからの便の注入をうけた150名以上の患者では、浣腸、経鼻十二指腸チューブ、経胃チューブをつかって行われていた。

92%の患者で改善がみられていた。

Eurosurveillance, Volume 14, Issue 34, 27 August 2009
Review articles
Struggling with recurrent Clostridium difficile infections: is donor faeces the solution?
http://www.eurosurveillance.org/ViewArticle.aspx?ArticleId=19316
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ユーロの最新号にはドイツやニュージーランドの新型インフル疫学レポートが載っています。医療のシステムや受診行動が国によってことなること、分母の数字が不明なので数字だけの単純比較はできませんが、時系列でみてどんな介入をしたのかやめたのかとあわせてみていくと各国情報から学ぶものも多いですね。

(プリンストン大学)
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