感染症診療の原則

研修医&指導医、感染症loveコメディカルのための感染症情報交差点
(リンクはご自由にどうぞ)

発熱のないインフルエンザA/H1N1

2009-05-17 | 毎日いんふぇくしょん(編集部)
「発熱」という非特異的症状で関わる対象を広げまくると、どれくらいの医師の数がいればいいのかな、などという試算をする統計学者などはいないんでしょうか。

5月13日のNew York Timesには発熱症状のないA/H1N1症例が一定数いることが報じられています。
(どのような評価スキームかの詳細は書いてありません)

-----------------------------------------------------------
Many Swine Flu Cases Have No Fever

新型インフルに感染しても発熱症状のない人がたくさんおり、これが感染拡大の評価を難しくしている。

米国を代表する感染症エキスパートRichard P. Wenzelがメキシコを訪問して調査を実施。


多くの感染症専門家は発熱がインフルエンザの最も重要な症状と考えており、診断でのスクリーニング項目になっている。

しかし、メキシコシティの病院に入院した患者の3分の1には発熱症状はみられなかった。
「自分もメキシコ人医師らも驚いている。教科書にはインフルエンザアウトブレイクの指標として発熱と咳の症状は90%と書いてあるから」

重症例の多くは入院後に発熱をしているが、半分のマイルドな症状の人たちでは発熱は見られていない。一方すべての患者は咳と筋肉痛を訴えていた。

2つのメキシコの病院の患者12%は呼吸器症状に続く重症な下痢症状を訴えている。中には3日の間に便通が6回もあった。

専門家は拡大状況を調べるために大学生らの便検査を依頼。

「もしも A/H1N1のウイルスが便を介してヒトからヒトへ感染するならば、感染対策は今以上に難しくなる。特に途上国では。」

またこの感染症専門医は「学生等が無症状で病原体を保有していないか」を調べるが必要だと考えている。

「ここ数ヶ月、メキシコでは5つのパターンのインフルエンザウイルスが循環している」

Dr.Wenzelが訪問をした二つの病院の肺炎発症率は1週間あたり120(過去2年の同時期比較だと20)になっていた。

http://www.nytimes.com/2009/05/13/health/13fever.html?scp=3&sq=H1N1%20fever&st=cse
5月4日の別の記事
http://www.huffingtonpost.com/richard-p-wenzel/the-return-of-swine-flu_b_195800.html

メキシコで調査をした元・米国IDSA会長Richard P. Wenzelの、副大統領コメントへの批判
(副大統領が家族に「飛行機や地下鉄に乗らないように言った」発言に対して)
http://www.cidrap.umn.edu/cidrap/content/influenza/swineflu/news/apr3009biden-br.html

(写真:編集長とVirginia医科大学のWenzel医師)
この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 推定10万人 (米国CDC試算) | トップ | 過剰反応への対応:自分で考... »
最新の画像もっと見る

毎日いんふぇくしょん(編集部)」カテゴリの最新記事