感染症診療の原則

研修医&指導医、感染症loveコメディカルのための感染症情報交差点
(リンクはご自由にどうぞ)

オーストラリアのHPVワクチンの説明・同意文書

2010-07-09 | 毎日いんふぇくしょん(編集部)
先日、小児科医に「子どもには説明しないで接種する」といわれたことのあるHPVワクチンですが(むかっ)、オーストラリアのニューサウスウェールズ州の予防接種プログラムの説明書では、接種される当事者であるこどもを尊重する態度の説明がならんでいます。

日本の専門団体もこういった記載から学んでいけばよいのではないかとおもいます。

------------------------
Q. HPVはどのように感染・蔓延するのでしょうか?

A. HPVはウイルスを持つ人と性行為を行ったり、外性器付近の皮膚が接触した場合に感染する可能性があります。ウイルスは、小さな裂け目から皮膚内に入り込みます。HPVは、血液やその他の体液を通じて感染することはありません。コンドームは性器の皮膚全体を覆うわけではないので、予防
効果が限定されます。
------------------------

GSKや推進者の多くはこの性的なリスクについての説明を省略しています。説明しづらいからかしたくないからかわかりませんが、思春期の当事者に情報操作をするということについて罪悪感がないのだとしたら悲しいですね。

--------------------------------
Q. 予防接種は何回受ける必要がありますか? また、ワクチンの効力はいつまで持続しますか?

A. (中略)すべてのHPV予防接種(3回の注射)が完了したら、最低5年間はウイルスから保護されます。この後に追加投与が必要かどうかは、現在のところ分かっていません。
--------------------------------

このように正直に事実を伝えることで得られる信頼があります。

-------------------------------
Q. 私の娘に関する情報が他の組織に送られることはありますか?

A. 予防接種を受けたお子様の保健関連情報は、全国HPV予防接種プログラム登録簿 (National HPV Vaccination ProgramRegister) まで送られ、全国子宮頸検診プログラム (National Cervical Screening Program) にリンクされます。
本同意書にご署名いただくことにより、お子様の保健関連情報の開示ならびに全国HPV予防接種プログラム登記簿への転送、全国子宮頸検診プログラムへのリンクにもご同意いただくことになります。

Q. なぜ、私の娘の保健関連情報は全国HPV予防接種登録と全国子宮頚部検診プログラムにリンクされるのですか?

A. 収集された保険関連情報は、HPV予防接種プログラムが子宮頸がんの発生率に及ぼす影響を評価するために使用されます。
----------------------------------

日本は疫学データ不十分なまま導入され、このような評価のためのモニタリングシステムも整っていません。この後につなげていくためには重要なのですが。

----------------------------------
Q. ホメオパシー製剤は、HPVを予防できますか?

A. いいえ。ホメオパシー製剤がHPVを予防するという証拠はありません。
----------------------------------

ホメオパシーはオーストラリアでもよくある質問なのでしょう。イギリス系ですからね。

---------------------------------

Q. 今回の予防接種は義務づけられていますか?

A. いいえ。保護者の方々は、お子様に予防接種を受けさせるかどうか選択することができます。すべての保護者の方々に対して、予防接種に関する情報資料が送付されます。保護者の方々が同意書に必要事項をご記入のうえ、署名いただいた場合にのみ、お子様は予防接種を受けることができ
ます。 お子様が予防接種を受けることをご希望されない場合は、同意書を提出しないでください。

----------------------------------

本人の希望・同意が前提です!

----------------------------------
Q. 娘が受けた予防接種の記録は提供されますか?

A. はい。予防接種後には、お子様にその記録をお渡しします。予防接種の記録が提供されていない場合、お子様が予防接種を受けたとみなすべきではありません。予防接種後にはこの記録を必ず確認し、かかりつけの医師にも通知しておくことが大切です。
将来の参考のために、この記録は安全な場所に保管しておいてください。
-----------------------------------

「本人に渡します」です。ところで日本のHPVワクチンの記録はどうなっているのでしょう。こなれたクリニックに聞いてみようとおもいます。
http://www.health.nsw.gov.au/resources/publichealth/immunisation/hpv/hpv_immunisation_consent_jpn.pdf
この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« ホメオパシーとこどもの命 | トップ | 理由をきかせてもらおうじゃ... »
最新の画像もっと見る

毎日いんふぇくしょん(編集部)」カテゴリの最新記事