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米国のMERS検査群

2015-06-23 | 毎日いんふぇくしょん(編集部)
MERS関連の対応をしていて、中学の時に、地図にはまっておいてよかったなあ、と思いました。
どの国が中東のなのか、名前を聞いてすぐわかるのは、サッカー好きな人に多いことも気づきました。はい、余談です。

米国がMERSをうたがって検査したデータを公表しています。

こちらの記事

Evaluation of Patients under Investigation for MERS-CoV Infection, United States, January 2013–October 2014


米国ではMERS-CoV感染の疑い患者のサーベイを2013年1月から開始しています。

感染をうたがう患者がいた場合、地域の公衆衛生部門に1ページの個人特定情報を含まない報告をし、その後検査をするか検討されます。
2014年10月までの検査は490件実施されており、381例(78%)は2週間以内のアラビア半島渡航歴があり、113例(23%)はアラビア半島と14日間のアラビア半島渡航歴のある体調不良者との接職歴がありました。
渡航先で多かったのはサウジアラビアで約半数でした。

この症例群では 292 (60%)が入院となり、 112 (38%) がICUで治療、 61 (21%) が人工呼吸器を必要としました。
ケースカードに記載されていた基礎疾患で多かったのは、免疫機能低下と糖尿病でした。
死亡が2例報告されています。

490例のうち488例は気道分泌物のrRT-PCR、感染の既往をみる血清検査も陰性でした。
2014年5月に報告された検査陽性例はどちらも医療従事者で、人工呼吸器などは使用せず回復しました。

MERSをうたがって検査された490例でもっとも多く把握された病原体は、インフルエンザA、リノウイルス、エンテロウイルスでしたが、すべての症例で多くの検査が行われたわけではありません。

ということです。

米国の医療機関では、CDCが作成したガイダンスにのっとって上記のようなサーベイが行われており、同時に感染予防策がとられています。

EUのデータもでてくるときいています。

来月からのイスラム教の大イベントハジやウムラによって、アジアでも多くの人がサウジにでかけます。
そういった話題は日本のメディアにはみかけませんが、医療関係者は丁寧に渡航歴を聞くことと、呼吸器症状のある待合室患者さんにまずマスクをつけてもらうことを徹底できればとおもいます。

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