Dr. WAKASAGI at HEI-RIVER(閉伊川ワカサギ博士)

森川海をつなぐ学び合いの活動を紹介します

第5回水圏環境教育研究会が開催されました。

2016-03-24 | 水圏環境教育

私ども一般社団法人日本水圏環境教育研究会は、水圏環境に関する総合的な知識及びそれを活用する能力をより多くの人が身につけることにこそあると考え、水圏環境に関する総合的な知識を多くの人に広め、又その活動を担う人材を育成することを水圏環境教育の目標に掲げ、国内外で行われている水圏に関する教育実践、教育実践研究支援及び教育の振興を目指すことを目的とし、国立大学法人東京海洋大学海洋政策文化学科水圏環境教育学研究室の中に佐々木剛准教授を代表理事として平成24年に設立されました。研究活動も今年で5年目に入り、活動実績も年々増え、2015年度は49件の体験学習や講演活動に取り組みました。

今年度の研究成果発表は大きな2つのトピックスを中心に、2016年3月19日に東京都港区芝浦港南区総合支所(みなとパーク芝浦)で5回目となる定期研究発表大会を開催致しました。 

 1,ジャパンレジリエンスアワード(国土強靱化大賞)2016「NPO・市民活動部門」

金賞の報告:(東京海洋大学海洋政策文化学科 佐々木准教授)

岩手県宮古市を流れる「閉伊川」流域の皆さんと共に取り組んできた、森・川・海の繋がりを通して地域住民を中心としたつながりの回復,地域資源の有効活用といった「内発的発展」と食の本有的価値の理解の深まりを探究した活動が高く評価され、全国240件の応募の中で最高の栄誉である金賞を受賞しました。この受賞の詳細について発表し、ご出席頂いた皆さんから大きな拍手と称賛のお言葉を頂戴致しました。

 

2,中学生による研究活動成果の発表(東京都港区立港南中学校2年生)

  生徒の皆さんから、学校の側を流れる高浜運河で毎月行われている「運河学習(水質・生物などの調査内容)」について、パックテストによる水質調査結果と釣り・フィッシュキラーによる生物採取で得られた生物の棲息分布調査結果から、身近にある水圏環境をどの様に変えていくのか現状と未来について発表して頂きました。また、生徒の皆さんの発表とは別に、本活動を指導した花島宏明教諭から見た「中学生による運河学習の取り組み」の成果についてもご発表頂きました。これは、実際に探究活動をした生徒側からの視線と、探究から発表まで指導した教師側からの視線という、同じ取り組みをそれぞれの側から発表した珍しい事例で、港南中学校の校長・副校長・担任・評議委員の皆さんも熱心に聞いておられました。

 

この他、東京大学大気海洋研究所(猿渡敏郎助教授)から「漁業の後継者と地元への愛情の育成を意識したアウトリーチ活動」を、文部科学省初等中等教育局(高橋洋子教科書調査官)から「社会科教育の観点から調べる海事産業 ―人々の工夫と努力に関する分析―」と、それぞれ水圏環境教育や社会・環境教育の観点からご発表頂きました。また、東京海洋大学水圏環境教育学研究室の学生(修士1年・2年)からも、岩手県宮古市で取り組んでいる、「サクラマスを用いた水圏環境教育プログラムによる流域の内発的発展に向けた取り組み」や「宮古産サクラマスの生態学的な研究」など、水圏環境教育と地元の発展に教育が密着している事例について発表して頂き、質疑では貴重なご意見を頂く事が出来ました。

 

私ども、一般社団法人日本水圏環境教育研究会は水圏環境に関する総合的な知識を多くの人に広める為,実践活動に数多く取り組んでいますが、実践研究や教育にも力を入れています。例えば,会話分析の手法を用いた学習者の科学的思考の発達過程の解明,興味・関心・意欲向上の要因分析などを行い,学習者の学びの支援を行っています。また,水圏環境教育に関する実践活動を支援するために,プログラム開発や提供、水圏環境教育推進リーダーの育成も行っています。この様に,一般社団法人日本水圏環境教育研究会は人材の育成・教育実践・教育実践研究支援及び教育の振興と発展を推進しています。

 

※水圏環境とは,「人間をとりまき,人間と相互作用をおよぼしあうものとしてみた

水圏」と定義しています。

 

 2016年3月23日

一般社団法人日本水圏環境教育研究会

代表理事 佐々木 剛

(事務局 三輪 宏)