Dr. WAKASAGI at HEI-RIVER(閉伊川ワカサギ博士)

森川海をつなぐ学び合いの活動を紹介します

これからの漁業の一考察 ー小規模社会と自然度の高さを指標としたいー

2011-08-22 | 里海探偵団
たしかにノルウェーの漁業の手法は進んでいるようですが,ノルウエーに留学した学生曰く,地元のスーパーに行くと魚の陳列は数が限られ,また鮮度は決して良くないそうです。水産物の恩恵を受けているのはやはり日本人なのでしょう(ただ,日本にいるとあまり気が付きませんが)。

現在,日本の漁業者は人口約1億2千万人のうちの約20万人です。漁業法ができた100年前は漁業者は300万人いたそうです。5000千万人のうちの300万人ですから,実に多くの国民が漁業と関わっていたことになります。

漁業権とはあくまでも特定魚介類と漁業の方法,漁業する場所についての権利ですので,一般人も漁業法を尊守すれば採ってもいいことになります。

しかし,海は漁業者のものと多くの人々が勘違いしています。漁業者と一般人の間に距離ができたことが原因ではないでしょうか。海の利用を考えるのであれば,もっと一般人も海に関わる機会を増やすべきです。戦前は,全国各地に650箇所に水産補習学校が設置され,高等小学校では水産という科目も存在していました。今では水産高校以外扱いません。

遠い昔にさかのぼります。我々の祖先は一万年以上前から日本列島に住み着いていますが,遺跡を見ていくと当時は海の恵みを巧みに利用していたようです。丸木船や採集道具を作り,海や川沿いの魚,あわび,ウニ,等様々な豊かな恵みを享受して生活をしていました。交易も盛んに行っていました。当時から日本は水産資源が豊かなのです。

その時代,小規模な社会を単位として自然とうまく共存しながら生活を営んでいたと思われます。自然の恵みがなくては生きて行けないのは今の時代も変わりありませんが,当時は今以上に自然に感謝しながら(もちろん畏敬の念をいただきながら)生きていたのではないでしょうか。

しかし,キャピタリズムのもと経済至上主義となった今の時代はどうでしょう。いつの間にか,自然界の持続可能な利用の許容範囲を超え今現在の快適な生活を求めて生活を送るようになってしまいました。

また,自然度の高い地域よりも,自然度の低い場所(大都市)のほうが,高収入で豊かで便利で快適な生活を送っています。

この際,小規模社会の自立と自然度の高さを指標とした新しい価値感を見出し,サポートする手法を考案すべきではないでしょうか。
(これからの漁業についての一考察)