Dr. WAKASAGI at HEI-RIVER(閉伊川ワカサギ博士)

森川海をつなぐ学び合いの活動を紹介します

<ワカサギの生活>

2005-02-25 | ワカサギに学んだこと
  ワカサギはキュウリウオ科ワカサギ属に属する日本固有種の魚で(最近では佃煮生産のため中国に発眼卵が輸出されている),サケ目に分類される。
 サケ目魚類は進化的に古い仲間である。サケ目魚類には,生活史の中で淡水域が必要である種が多く,海で生活するも産卵の時に淡水に遡上する仲間(遡河回遊魚)や,成長期を川で過ごし,産卵後海で生活するアユなどの仲間(両側回遊魚)がいる。シロザケ,サクラマス,カラフトマスなどのサケ科魚類の他,キュウリウオ科シシャモなどは海で生活し,産卵の時は川に遡上する仲間である。
 一方で,同じ種でありながら淡水域で一生生活する仲間もいる。例えばサケ科魚類のサクラマス(淡水生活ではヤマメ),ベニザケ(一生淡水で生活するものはヒメマス)などである。これらは,一生淡水域で生活し再生産が可能な種である。同じように,ワカサギも淡水域で再生産が可能だ。おそらく,淡水域で産卵する性質のため,湖を海の代わりとして成長し流入河川を産卵場として利用できるのであろう。ではなぜ,同じサケ目の中でワカサギだけが全国各地のたくさんの淡水湖に分布するようになったのか?その理由として1.富栄養化に強いこと,2.水温の適応範囲が広いこと,3.塩分変化に強いなど環境要因に対する抵抗力が他の魚種に比較して強いこと,4.1年で成熟が可能なこと等が挙げられる。