高齢者の「外出難民」を防ぐために公共交通の充実を (その3)

2019-09-23 04:38:48 | 日記

  安倍政権の高齢者政策に抗して

  公共交通の充実を「社会福祉」と、とらえよう

 

 高齢者の交通事故が社会問題となっている今、公共交通の充実を社会福祉の問題」としてとらえるべきです。ここに、市が実施をした「公共交通の市民アンケート」の結果があります。調査期間は平成26年9月16日~10月17日・調査対象者は市民3000人を基本台帳より抽出。回収状況は41.9%、1257票でした。

 その集計内容を報告いたします。

①  買い物、通院、通勤・通学等のすべてが自家用車の利用となっている。

     しかし、高齢者の多い地域では運転免許を持っていない人や運転を控えている人が多い。

②  一方、バス停の位置や乗り方(ステップが高いなど)に改善を求める。

③  市街地の駅や商業施設、総合病院への移動のための要望が多い。

④  既存の路線バスの利用者は1割強であり、運行本数、運賃のサービス水準の向上が求められている。またバス停まで距離への不満を持っている。

⑤  路線バスの利用が便利になれば週1日以上使う人が5割弱いる。特に買い物での利用が求められている。

 高齢化進行の中で介護・医療をはじめとした高齢者の不安も増大しています。しかし安倍政権の方針は、高齢者問題に「財源を使う政策」を変えようとしています。つまり「全世代型の社会福祉」です。その政策の一つに「要介護1・2」の軽度の要介護者を、介護保険から外すという方針です。現行制度による要介護 1・2の方が受ける1回の「生活支援サービス料金」の自己負担(1割)は250円程度となっています。これを介護保険制度から外し、全額自己負担とすれば10倍の2.500円にハネ上がります。このように「高齢者問題を『財源を理由』に消し去っていく」という政策を前にして、高齢者は要求を抱えつつも立ちすくむという実態が生まれています。しかし「要介護1」の認定者が最も多く約120万人、次に「要介護2」が約107万人。その合計は、要介護者全体の4割にたっします。さらにその家族を加えれば「要介護1・2」にかかわる国民は400万人を超えるでしょう。

 前回の総選挙の際に述べた安倍首相の言葉があります。「消費税増税の使い道について国民に信を問いたい」と。それは「これらの財源をこれからの社会を担う児童の教育、あるいは保育所、幼稚園への補助に使う」と言うものでした。

 では問いたい。政府は保護者の収入にかかわらず、それは幼児教育や保育の機会を保障する仕組みだと強調しています。それを試算しますと、認可保育所の無償化には全体で年間4460億円を必要としています。それを所得階層別の配分額で見ますと、年収約260万円までの非課税世帯には計50億円(全体の1%)・330万円までには計170億円(4%)。そして470万円を超え約640万円までの世帯には計1520億円(33%)。さらに640万円を超える世帯に計2320億円(50%)であるとしています。(東京新聞・12月21日)

 つまり年収1000万円を超える世帯も補助が受けられるというこの事実を「限られた財源の有効活用」だと説明をしています。「子どもには差をつけるべきではない」というのでしょう。それでも「全世代型」とは結び付きません。

 これらのことが、自治体の予算形成にも顕著に表れています。つまり「高齢者は金がかかる」として「高齢者問題の後回し」にする行政の実態です。このような中で「公共の足問題」をどのようにして取りあげていくかが課題となります。

 そして、地方に行けば行くほど「公共の移動機関」は脆弱になります。私たちの市も、バス停と自宅の距離・路線の廃止とダイヤの削減・バス停での待ち時間などの実態が高齢者の「足」を奪うものとなっています。バスは「空気を乗せて走る」ものとなっています。

 高齢者のより良い晩年を過ごすための「社会福祉」としての「公共交通の充実」に向けた息の長い取り組みを痛感しています。