トランプ政権の本音丸出し「気候変動・発信するな、米政権政府機構に通達」

2017-01-27 13:19:45 | 日記

トランプ政権の本音丸出し「気候変動・発信するな、米政権政府機構に通達」

 

    「TPP資料、閲覧できず・永久離脱」(ワシントン時事1・23)の見出しであり、それが次の内容である。

   トランプ米政権は通商代表部のホームページにアップされている「環太平洋連携協定(TPP)」に関する資料の開示を停止した。トランプ大統領が23日に命じた「TPPからの永久離脱」をもって、協定に関する資料を「国民の目に触れない闇の戸棚に封じ込めた」のである。スパイサー大統領報道官は24日の記者会見で「政権交代があれば政策を見直されること、驚くことではない」と主張している。もちろん政策の違いを争って当選をしたトランプ大統領である。そしてTPPは争点の一つであった。しかし、資料までも開示させないということをどのように受け止めたらよいのだろうか。

 加えて、トランプ大統領が消極的とされる地球温暖化対策、性的少数者の権利保護に関する記載などが、ホワイトハウスや環境保護局のホームページから消えたと報じられている。

 これに先立つこと1月20日に、トランプ米大統領は「オバマ政権が地球温暖化対策として導入した行動計画など環境問題をめぐる構想や規制を撤廃すると発表した。いわゆるエネルギーの国内産業育成を重視する観点から国内産の原油、天然ガス、石炭の使用を増やすことに力点を置き、環境保護や温暖化対策を優先するオバマ前政権の政策を切り捨てる方針を明確にした」

   「複数の関係筋によると、トランプ米新政権は先週以来、環境問題に関わる複数の省や局に情報発信を控えるよう指示している。地球温暖化に懐疑的で環境規制の削減を目指す新政権が、政権の主張に沿わない意見や科学研究を封じ込める手段に出た様子だ」とワシントン/シカゴロイター通信は報じている。(1月24日)
   そして「気候変動・発信するな、米政権政府機構に通達」というトランプ大統領の政治方針を改めて毎日新聞が取り上げた。(1月26日)

 そこで思い出す苦々しい記憶がある。第二次大戦における「大本営発表」である。ウソの日本軍の戦果を一方的に報じ、国民の目を塞ぎ、東京大空襲に非戦闘員の国民を巻き込み、広島、長崎の原発投下にまで引きずり込んだ為政者の歴史がある。このように歴史は、時の為政者の手によって隠され、消され、そして「為政者にとって都合の良い」ものに書き換えられる。

 トランプ大統領は、自分が押し進めようとするエネルギー政策の変更が、大気汚染弊害と健康被害を起こしかねないことを覆い隠さなければならない。そのためには気候変動の発信を抑えなければならないということである。まず政府機関から、やがては民間機関にまで手を伸ばしてくるだろう。

 そして、思い出すもう一つの事実である。太平洋戦争開始の真珠湾攻撃が行われた昭和16年12月8日の午前8時、中央気象台の藤原咲平台長は、陸軍大臣と海軍大臣から「気象報道管制実施」の命令を受けている。戦争遂行のための機密のひとつとして「天気予報」は完全に隠されてしまった。気象情報は戦争遂行を有利にするために自国の気象情報を隠し、相手国の気象情報の入手を試みる。

 気象情報によって得られる台風情報の予測を失った国民は、東南海地震(44年12月)や「三河地震」(45年1月)という大地震に見舞われる。しかし、この事実が気象管制の下で秘密にされた。そして地震や津波で犠牲になった学童疎開の子どもたちの親にすら「軍事機密」を理由に知らされなかった事実を忘れてはならない。
 

 この戦時中の気象管制が解除されたのは1945年(昭和20年)8月22日、すなわち敗戦の日の一週間後のことである。この日、ラジオの天気予報が再開され多くの人が天気予報を平和のシンボルと感じとったと記録されている。

 1月24日、強い寒気に見舞われた欧州各地では、風がほとんどなく暖房用に石炭や木材が多く使用されたことによるスモッグが発生した。そしてイングランド地方全土が「深刻」な状態にあるとして注意を呼び掛けたという報道を見ることになる。

  世界各地の気象情報が自由に入手できるというのはまさに平和の証である。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


「労働組合よ、あるべき姿に戻ってほしい」・違法時間外労働に思う

2017-01-13 05:57:27 | 日記

 「労働組合よ、あるべき姿に戻ってほしい」・違法時間外労働に思う

 

  「三菱電機 入社1年目社員に違法な長時間残業 書類送検」(毎日新聞1/12)の見出しの記事を見る。若い女性の命を奪った広告会社「電通」の違法残業問題は日本有数のビック企業の職場で発生した。従業員に対する時間外、休日労働の就業命令は、労基法にもとづく時間外協定、いわゆる36協定があってはじめて発生するものであろう。「ブラック企業」とは言え、電通においてもこの36協定は結ばれていたであろう。問題はその後の運用である。協定に署名するということは、上司の部下に対する就業命令を正当とするだけではなく、その時間の労働に対する正当な賃金の支払いもさることながら、その労働によって発生する「労働者の権利、安全、衛生を保障」することを意味するはずである。よって協定にあたる労働者代表は「就業命令が強制されないこと、安全、健康の確保がされること」などの確約を常に求めることは当然である。しかし、この当然なことが遵守されていなかったことを「電通問題」は露呈したと言っても過言ではない。それが釈明と謝罪に事業者代表(広報部担当というのも無責任であるが)の姿があっても、協定に署名した労働者の代表の姿が見えないことに疑義を持った。

   さて今回の場合も同様である。三菱電機と言えば電機メーカーの最大手であり、労働組合も電機メーカーの労働組合で結成されている電機連合の大手組合の一つである。歴史もありその立ち位置からしても他の模範となるべき労働組合であろう。当然にして36協定の労働者代表となる組織である。その事業所における違法な時間外労働の実態、そのことによって発生した疾病が労災と認定されたこと、さらに就労命令を発した当時の上司が書類送検をされたことに対し、労働者代表の姿がここでも見られないことに改めて疑義を感じる。もちろん当該労使間においては、事業主へ強い叱責と責任の追及がなされていると思うが、大手の労働組合が存在している事業所で起きた法違反の容疑は極めて残念と言わざるを得ない。

   春闘も「官制春闘」といわれて久しい。労働条件は「労使の問題」である。ましてやビック企業と労働組合間の賃金交渉が「官主導」と言われることは情けない。労働組合の主体性を失った「証の姿」と受け止められないか。そのようなことが今般の「違法労働」を生み出すものとなっていないか。

   また、この報道は毎日新聞のみならず中央紙の各紙、そして地元の神奈川新聞をはじめとして全国各地方紙でも大きく報じられていることに、その重さを真摯に受け止め、社会的制裁の厳しさを労働組合も深刻に受け止めるべきではなかろうか。

   労災の認定を受け、同時に職場復帰を求めている男性は「飲酒運転の悲惨な事故は厳しく断罪されるようになった。同時に労働法規に違反することは犯罪(違法時間外労働)だという意識が広がってほしいと訴えていた」と述べているが、それは当然である。

 現役を去って久しい一人であるが「労働組合よ、あるべき姿に戻ってほしい」と切に願うものである。


福島からの報告・原発被災地で生き、そして医療に携わった二人の「老医師」

2017-01-03 04:57:34 | 日記

  福島からの報告・原発被災地で生き、そして医療に携わった二人の「老医師」

 

 ETV特集「原発に一番近い病院 ある老医師の2000日」(2016年10月8日(土) 午後11時00分(60分)という番組があった。あらすじは「福島第一原発から22キロ離れた双葉郡広野町の高野病院。院長の高野英男さん(81)は現役の医師として診療を続けている。5年前の原発事故で、病院を取り巻く環境は大きく変化した。原発周辺の病院が休止しているため、救急車が殺到。地域医療が崩壊する中、除染など復興作業に携わる“新たな住民”や、原発事故によって居場所を失ったお年寄りたちの最後のとりでとなっている。孤軍奮闘する老医師、その2000日を見つめる」というものである。

 そして昨年の暮れ12月30日の地方紙に次の記事が載った。「30日午後10時半ごろ、福島県広野町下北迫の高野病院の院長、高野英男さん(81)方から出火、木造平屋建て住宅の一部を焼いた。室内から男性の遺体が見つかり、県警双葉署は連絡が取れない高野さんとみて、身元の確認を急いでいる。東京電力福島第1原発が立地する同県双葉郡で唯一、診療を続けている病院で、高野さんは事故直後から避難せずに診療にあたっていた。双葉署によると、出火した自宅は病院の敷地内にあり、警備員の男性が家から煙が出ているのに気づいて119番した。高野さんは1人暮らしだった。病院の担当者は取材に対し『最近も変わった様子はなく、診察に当たっていた』」と報じている。

 ここにもう一人の医師がいる。震災直後から福島第1原発事故の影響で人口が激減した南相馬市で診療を続け、放射能への不安におびえる妊婦たちを勇気づけてきたが、11年の夏に末期の直腸がんが見つかったが、最後まで現場で診療を続け翌年の1月22日に死去した。南相馬市の高橋亨平医師(74)である。その高橋医師を訪問した取材ブログ「さようなら亨平先生」の記事(日経新聞・2013/3/29 )があるので紹介したい。
「余命半年の産婦人科医が診療と除染活動を続けているらしい。そんなニュースを目にして、先生に初めて会ったのは11年の秋だ。貴重な時間を割いてもらう感謝と申し訳なさで、緊張して病院を訪れたところ、先生はぼそぼそとした素朴な口調で話し始めた。そして振り絞るような声で「子どものいない町に未来はないからね」と語った。当時、地域医療の中核を担う南相馬市立総合病院に、内部被曝(ひばく)線量を計測するWBC(ホールボディーカウンター)の設置を、関係機関への粘り強い交渉の末、ようやく成功させたばかりだった。これでようやく、継続的に子どもたちを計測できる。お母さんたちにも『安心』を数字で見せることができるとその日初めて笑顔を見せた」と書いている。    

 高橋医師は次のようなメッセージを送っている。

 「今年、一人も生まれなかったならば、南相馬市は絶望の町であり、更に、絶望が絶望を呼び、滅び行く宿命となることは明らかであった。そんな希望の無い町には、役所も要らないし、病院も要らない。ただ死んでいくだけの町であり、未来への希望は全く無かったと振り返る。30人の子供達に、先ずはこう言いたい。ありがとう!!よくぞこの世に、この地に、この家に、そして何よりもこの時期に生まれてきてくれた。君達のお陰で我々も生きる希望が持てた。ありがとう!! 心から、あり難く、そして嬉しく感謝で一杯です。君達が逞しく成長していく姿を何時までも見て行きたいが、私にはもうそんな時間は残されていない。ただ、君達を、日本国が許さなかった、厳しい環境の中で、君達を生んでくれた両親と共に、手助け出来た事は私の生涯の誇りであり、君達も、堂々と誇りを持って、生きていってくれる事を心から願ってやまない。頑張れ! 」

 【注】「文中一部を省略していることをお断りします」