燃やしてはならない「消せない火」を私たちは燃やしてしまった ・その18

2019-09-09 05:08:00 | 日記

2011年3月29日

幼児が12日間ずっと屋外にいたとする試算によれば

 

もう一つの事例があります。政府機関の「原子力安全委員会」の報告です。3月23日、同委員会が「放射線物質の拡散を予測した『模擬計算』(試算)」の報告を出しました。その内容は次の通りです。

「半径30キロの範囲外でも、事故後の12日から24日までの12日間、ずっと屋外にいた場合に安定ヨウ素剤の服用が必要とする値になる」との発表です。どうですか、12日間×24時間も屋外ずっといるということが考えられますか。そして解説は次に続きます。「この試算の対象は甲状腺がんの受けやすい1歳児を対象としたものである」と言うのです。もちろん安心、安全の確保を維持するための参考としての情報であったとしても、1歳児が12日間も屋外にいることなど考えられますか。このような仮定にたった公的機関の発表。そしてそれを取り上げるマスコミのあり方。ここに大きな疑問を持つのです。

これが今日の「風評被害」を巻き起こしている元凶と言うことでしょう。だからこそしっかりと情報を読み取る「利口さ」を持つべきと思います。

次の報道もありました。「福島のこどもを守ろう」という運動が、東京都内の母親グループよって展開されているというものです。そして「規制値1ミリマイクロシーベルトの厳守と20ミリ論の撤回」を求める国会請願の企画がされているというものです。そして1ミリ論を主張しない学者を「御用学者」と称して名指しの批判を強めています。

さらに政府〈行政〉に子供の避難の取り組みを要求しています。もしこの避難を実現させるとすれば30万人以上の大移動です。そこに母親が加わるとなれば50万人は超えるでしょう。どこに、どのようにして実現させるのでしょうか。また、その避難を必要とする線引きができるでしょうか。そして「自主避難」という事実が生まれようとしています。しかし、生活の糧である職場を持つ父親がいます。同居する高齢者もいます。結局は母親と子どものみの避難移動となるでしょう。現に自主避難をした家庭の多くは父親と高齢者が残りました。残った父親の心境はいかばかりか。そして預金通帳とハンコをお嫁さんに渡して孫を頼むと言ったおじぃさん、おばあさんの話も現に聞いています。

私のメールに、関西の友人から避難してこないかとの勧めがありました。その根拠は「ヤバイ」と言うことです。いわき市もそうでしたが、郡山市でも1万人が動いたと聞きます。福島市も相当数の避難があったのではないでしょうか。それを動かしたのは何であったのか。一部には企業が、県外の事業所への移動のために従業員とその家族の避難バスを用意したということも報じられています。またソフトバンクの孫社長が陳謝していましたが、孫氏のメールで250万人が影響を受けたとも言われています。

私はこれからの危機管理として、これら報道やメールに対する「免疫力」を持たなければ大変なことになることを痛感しました。

いずれにせよ、「積算放射線量」については、きちんと整理しなければならない課題であることは間違いありません。そしてこれらの記憶は、後日検証されなければならない課題であると考えます。