「消せない火」 敵(原発)を前に撤退した限界・その16

2013-06-29 08:32:17 | 日記
4.15
いずれは国民的討論としたい「自衛隊の災害支援」と「日米共同行動」

「ナマズの暴れ過ぎだ」。なんとか原発が「現状維持であれ」と願い、異常が無いという報告にホッとする。信頼のおけない「東電の記者会見」であれ、そこにしか情報源がないとするなら信頼するしかないとなるが、不満である。
 
 災害発生から1ケ月が過ぎると。目は別な角度を見るようになる。それは、自衛隊の救援活動と、自衛隊と米軍の共同行動である。『トモダチ作戦』と銘打って展開された。現に、復旧までは3週間は必要と判断された仙台空港を、米軍は4日後の3月16日に物資や機材を積んだ輸送機を着陸させている。 
 それ以来展開された日米の共同作戦は、「日米安保を絵にかいたような作戦」であったと、現地の自衛隊幹部の発言となって表れている。〈毎日新聞〉
 日米安保の成果という。これが自衛隊幹部の発言となると「一寸待てよ」となる。しかし、米軍の支援なくして自衛隊の行動もなかったことは事実であるし、物資も運び込まれなかった。捜索もできなかった。米軍の敏速な支援活動には驚くものがあった。 

 いずれは「原発」に対する国策の変更も含め、自衛隊の災害支援と外国からの支援〈軍隊・民間支援〉については今後の課題となるだろう。そのためにも、今のこの事実をしっかりと見極め、記憶にとどめることが大切であると考える。

 そこで現地で見た一つの具体的な事実を上げてみる。
 自衛隊が原発現地に到着した。しかし、放射能線量の異常な数値に司令部は隊員の生命を守ると称して撤退してしまった。自民党は、憲法改定草案の中で、自衛隊を「軍隊」へ改組することを提起している。軍隊とは、まさに「有事において命を賭して前に進む」集団である。我が命を守るためには「敵より早く引き金を引く」というのが軍隊である。原発現場の現状はまさに有事であり、敵は「原発」。厳しい言い方をすれば、その司令部の姿勢に「自衛隊の限界」を目のあたりに見た思いであった。
 誤解してもらっては困る。若き自衛隊員に命を落とせと言っているのではない。自衛隊を「平和建設隊」に改組する運動に、火をつける格好の材料を今回の惨事は教えてくれたと考えるべきであろう。
 だから「マスコミよ、もっともっと自衛隊の活動を宣伝しろ」と言いたい。
 
 日米安保もそうである。軍事安保ではなく「平和、経済、文化の確立のための同盟」という生きた材料を提起されたものとして記憶しておこうというのが私の意見である。 このことは「メール交信」を決意した時の課題の一つであった。

 さて「原発の収束に向けてどうするのか」である。以前にも述べたことであるが「収束作業」は現地に任せるしかないが、核先進国の支援をもっと求めるべきである。そのことを躊躇する一つに、企業秘密〈技術秘密〉を守るという企業の本質があるとするなら、政府はそれを破るべきである。なぜなら何を犠牲にしても「火は消さなければならない」からである。考えられるあらゆる手段をめぐらして欲しいと念じる。


「寄稿」アピールだけならお断り・〈げに腹ふくるる心地の〉ばーばより

2013-06-28 12:35:50 | 日記

アピールだけなら、お断りです

【安倍首相は参院選公示予定の7月4日、私の住んでいる福島県で第一声に臨む意向を固めた。……復興に取り組む姿勢をアピールする狙いとみられる】(福島民報6.28)と、報じられました。
安倍首相に申し上げます。『復興に取り組む姿勢のアピール』だけなら、来て欲しくありません。
自民党政権となっても、除染等は遅々として進んでいない福島県の現状を何とかして下さい。具体的に示して下さい。
アピールや決意表明だけなら、真っ平御免こうむります。
ところで、自民党の佐田玄一郎衆議院運営委員長は、女性問題で委員長の辞任が許可される模様ですが、私は女性問題等には、あまり関心がありません。
でも、参院選への影響を懸念して、早期辞任を求める声が自民党内に広がっているとすれば、安倍首相、福島県民をバカにしないでください。
先に高市早苗政調会長の、「原発事故によって死亡者が出ている状況ではない」という発言には、党としての具体的なご沙汰はありませんでした。
自民党の綱紀とは週刊誌的内容が根幹をなしているのでしょうか。
高市早苗氏の発言には、今なお罹災中の福島県民が怒っているのです。
「佐田は沙汰有り」「高市は沙汰無し」なんて、ゴロ合わせにすらならないでしょう。
原発事故に関して、政府と東京電力などでつくる廃炉対策推進会議は、新たな廃炉工程表を決定しましたが、そのスケジュールを実現するには新技術開発など、多くの課題があるそうです。
早い話、原発事故処理は、いまだ「泥縄式」の域を出ていないのです。
安倍首相、『復興に取り組む姿勢のアピール』だけなら、来ないで下さい。
原発再稼働を推進し、「我が国の優れた原発技術」をアピールして、他国に売りこんで来た安倍首相、来県の際は、優れた事故収束の具体的手立てを持参して来て下さい。
アピールだけならお断りいたします。

「消せない火」揺れる、揺れる。3、11の再来か・その15

2013-06-28 11:25:49 | 日記
 4.4
   低濃度といえども海への放水は心が痛む
 
「漏れたのではない、流したのである」。高濃度の汚染水の貯水を確保するために、法の基づき「低濃度の汚染水」を海に流し始めた。これは、冷却作業を優先させるための非常手段であるとの説明である。そして今回もまた、「この低濃度汚染水による影響は、成人が近くの魚や海藻を毎日食べた場合でも、その被曝線量は自然界の線量の四分の一」と説明している。そして「さして健康への影響はない」と。
 海水の汚染は漁業関係者だけの問題ではない。我が国では「水俣チッソ」の苦い体験をしている。そして、その被害者の救済も未だ完全に解決していない。
 
 なんとかならないものか。盛んに言われてきたフランスの汚染水対策の技術と専門家の支援はどうなっているのか。頼れるのか、頼れないのか。別な手段はないのか。八方ふさがりなのか。対策を講じているのだろうが、それらが見えないだけに不安が募り、心が痛む。
     
 4.11 
   揺れる、揺れる。来たか「3.11の再来」 
 
 3.11以来、人々の間では1ケ月後に大きな余震が来るとの噂がまことしやかに流されていた。いわゆる風評である。それが来たのである。
 午後5時16分頃、携帯電話とテレビから例の警報が流された。大きな揺れがやってきた。身構えて戸をあけた。目の前の電柱が左右にゆさゆさ、ぎしぎしと動いている。
 一瞬であったが、私の脳裏に浮かんだのは、これで原発は「決まった」ということである。福島県浜通り沖が震源。マグネチュード7。
 福島県浜通り6弱、中通り5強の震度である。幸いにして揺れは短時間であったため被害は小さく、それでも死者1名、重軽傷者5名との報道があった。津波はこなかつた。
 
 しかし、原発現場の情報が流されない。どうなっているか不安は高まる。
 やがて、「原発に新たな被害はない」との報道が入りホットしたものの、以来大きなそして長時間の揺れの再来がないことを祈るのみである。そして原発のさらなる破壊がないことを。
 
 またぞろ、今日の揺れが「5月11日に余震」の噂の元となって広がっていく。 
「不安を煽る噂」。いつの時代にもあることであり、そして人心はその噂に左右される。                                                                 
                                                          

「消せない火」からからです。雨が欲しい、触れたい。でも矛盾が・その14

2013-06-27 08:37:23 | 日記
4.2
この期においても、なお東電は7.8号機の増設申請を経産省に
 
 「第一原発の7・8号機の増設計画を、3月26日福島県は東電から説明を受けた」とのニュースが目に飛び込んだ。この計画書は経産省にも提出していると言う。
 この期に及んでもなお、原発推進を図る東電の意図はどこにあるのだろうか。今東京都知事選が闘われている。候補者の一人である石原慎太郎氏は、声高に「私は原発推進者であると宣言している」。そして当選を確実にするかの勢いにあると言われている。
 
 もちろん企業である以上「利益を生む商売であれば『死の商人』になることも厭わない」。これは歴史も証明するところであるが、同時にエネルギー政策と、そこに成り立つ経済成長が、原発と一体になっているところを東電は見抜き、計算しているということではないだろうか。
 脚本は決まっている。「想定外の破壊力に、想定外の被害を出してしまった。今後はこの事実を真摯に受け止め、想定外にも耐えられる設計を確立したい。また被災者の皆さんには最大限の賠償をもってお詫びをしたい」と。そして「日本の経済発展のため、雇用の確保のためにも東電は企業をあげて全力を尽くす覚悟である」と。
 この論理を許してはならない。民意はこれにどう結論付けるのか。せめて都知事選において、その答えを出して欲しいと願うところである。
 * 東電は後日〈4月5日〉副社長談話でこの計画の撤回を述べている。

 4.3
   「雨が欲しい」。でも放射能物質を移動させるだけの矛盾も
 
 罹災以来3週間が過ぎました。依然として原発の状況は改善されません。放射能物質は海へ漏れていますが、それを止める手立てが見つからないということです。放出は続いていますが、「今、緊急な危険ということには結びつかない」との説明が例のごとくされています。
 そして今度は、建屋を大きなシートで覆うという案が浮上してきました。大手ゼネコンの発案で費用は800億円ということです。フランスの企業の支援も「廃炉ビジネス」を背景にしたものと言われています。アメリカ企業も原発に代わる大型発電機の売り込みをを狙っています。いずれも市場主義の原理です。
 日本の原発メーカーの「原発輸出」の方針は変更されていませんし、政府も、前政権からの継続性を盾に、これを後押ししています。他国を非難できません。

 いろいろな対策、そして外国の援助も含め、まず放射線量の削減と拡散防止。そのための「冷温停止」への道筋を一日でも早くと考えます。これは「地元の願いです」。
 このままでは不安は解消しません。帰るところのない「難民」の放置となりかねません。避難者への炊き出しが今も続いていますが、何時まで続くかその保障はありません。その中で会津若松市の東山温泉の旅館などが受け入れを始めました。その費用は県が助成します。これもいつまで続くかです。
 
 放射線量は高めで推移しています。ここで雨が欲しいのです。その雨は放射能物質を少しでも洗い流してくれるでしょう。でもそれは移動、拡散させるだけです。矛盾です。しかし、「からからです。雨の湿りに触れたいです」。

「消せない火」海水を3升も飲む馬鹿がいますか・その14

2013-06-26 11:29:57 | 日記
 4.1                                     情報はしっかりと読み取る訓練が必要
 
 不要な不安感を取り除く智恵を持つべきです。心配の頂いた郡山の放射線量の件です。確かに郡山の事故前の平常値は0.04~0.06マイクロシーベルト/毎時でした。そしてこの間の測定数値は2.2マイクロ前後ですから、高いといえば高いですが、この数値はその時の風向きや地形などで大きく変わります。現に郡山市の場合の拠点数値は、市の中心部にある合同庁舎を測定場所としています。そこから1㌔弱にある市役所での数値は2.0を割っています。このように場所によっても違いがあります。さらに2㌔離れた田畑地帯では1.2前後と激減します。
 
 そこで、私たちはもっと利口になろうと思います。情報をしっかり読み取ろうと提案します。とりわけマスコミのあり方です。その性格からして読者の目をひきつける為のショッキングな表現がどうしても横行します。そのことが不安は増大させる一因ともなっています。もちろん、不安は解消されてはいませんが、注意深く、落ち着いて、テレビや新聞の報道をしっかり読み取ろうというゆとりを持つべきと思います。すると、不安を大きくしなくともよいことに気づきます。

 その一つの事例が海水汚染の情報です。「海水から1250倍のヨウ素」という見出しがありました。しかし、それは5リットルの海水を飲んだ場合の「危険数値」であると記事の本文に書いてあります。つまり5リットル。約3升もの海水を飲んだ場合となります。そんなに飲む馬鹿はいないでしょう。
 
 また原発現場で3人の作業者が被ばくしました。テレビは「ブルーシート」で被ばく者を覆って歩く姿を連日映し出しています。そこからは視聴者は何を想像するでしょうか。全身被ばくの恐怖の姿を描き出すでしょう。それも束の間「まもなく退院」という報道がされました。そのあとは何の報告もなく、しばらくして「治療の必要もなく、要観察という診断であった」と報じその後の情報はありません。あの連日の「ブルーシート」の騒ぎは何だったのでしょうか。
 
 残念ながら、大衆は最初に得た知識や情報を強く「記憶に残す」という習性があります。そして、その記憶を尺度にしてすべてを判断するということになります。
 よく言います。「だってあの時、そう言ったではないか」と。あとからの修正をなかなか受け入れないという意識です。
 
 もう一つの事例があります。政府機関の「原子力安全委員会」の報告です。3月23日、同委員会が「放射線物質の拡散を予測した『模擬計算』(試算)」の報告を出しました。その内容は次の通りです。
 「半径30㌔の範囲で、事故後の12日から24日までの12日間、ずっと屋外にいた場合に安定ヨウ素剤の服用が必要とする値になる」との発表です。どうですか、12日間×24時間も屋外ずっといるということが考えられますか。そして解説は次に続きます。「この試算の対象は、甲状腺がんの受けやすい、1歳児を対象としたものである」と言うのです。成人者もさることながら、1歳児が12日間も屋外にいることなど考えられますか。このような仮定にたった公的機関の発表。そしてそれをニュースとして取り上げるマスコミのあり方。ここに大きな疑問を持つべきです。
 これが今日の「風評被害」を巻き起こす元凶と言うことでしょう。だからこそ、しっかりと情報を読み取る「利口さ」を持つべきと提案したいのです。
 
 しかし、このニュースは、確実に子どもを持つ親の意識をつかまえました。子どもの「甲状腺障害」の不安を確実なものにしてしまいました。人間は、ましてや子を持つ親はいったん受け入れた意識は簡単には薄れません。