蝉の一生・そこから考えると6日目か。80代のつぶやき・・・・・
とにかく暑い日が続いている。
そして、ここ二三日の暑さは異常だ。日中の気温が36度、それが夕方になっても下がらない。それどころか、その気温が一晩中続く。まさに「熱帯夜・蒸し風呂」である。
最近「昔は良かった」というつぶやきが自然と出てくる。戸は雨戸があれば良いほうで我が家はガラス戸であった。中には障子戸、それも破れ、黄色く染みついた状態の家も珍しくもなかった。そこで戸をあけ広げたままにして蚊帳を吊り、せんべい布団を隙間なく敷きそこにごろ寝である。蚊取り線香などは無い。もちろん「キンチョール」などは知りようも無い。吉幾三の歌ではないが「無いなぃづくし」である。そういえば「蚊」の予防があった。それは庭先にヨモギを積みそれに火をつける。子どもたちは大声を上げながらその煙を団扇であおぎ部屋の中に追い込む。それが「蚊取り線香」であった。そして「蚊帳の中で団扇をパタパタ、知らない間に眠ってしまった」ものである。それが「昔は良かった」という表現になるのも己の年齢だろうか。
昨日の朝のことである。6時を前にした時間に庭先で「蝉の一声」を聞く。早速「抜け殻探し」に庭に出る。毎年見つける花壇の葉の裏を探すが見つからない。どこから這い出たのだろうか。その一匹の「つくつくぼうし」が今年は夕方まで庭で鳴いていた。7年間お世話になった感謝の意味も兼ねてのことか。そしていつしか鳴き声も途絶えた。これから始まる大忙しの「配偶者探し」に出かけたのであろう。無事探し終え、そして僅か一週間の一生を精一杯鳴き続けるのだろうが、それも羽化していったものの何パーセントだろう。その多くは天敵によって一生を全うできないのも自然の摂理である。
クーラーのきつさで目を覚まし、そしてパソコンを前にしている80の老いた身である。蝉の一生に譬えれば「まあまあの責めを果たした6日目」くらいか。
ジタバタしても仕方がないが、それでも次世代を生き続けていくだろう子や孫の社会が気かかりである。ますます拡大するだろう格差と貧困の社会である。私の今の6日目を彼らは無事迎えることができるだろうか。そしてあの「戦火」の災いを打ち消すことができない実情も痛感する。
今般の安倍政権圧勝の原因は何か。出口調査の中で明らかになったこととして「問題もある、不満もある。だがまあこんなものだろう」という安定志向が、安倍政権の安定度にかけたと分析されている。それで果たしてよいのだろうかと問い直している「一匹の蝉の鳴き声」を聞いた2016年8月である。