「今日も原発は何事もなかった」と
ほっとする県民の想いを逆なでするのか東電は
「東京電力福島第1原発で汚染水が排水路を通じて外洋に流出した問題で、東電は25日、福島県いわき市で開かれた県漁業協同組合連合会(県漁連)の傘下組合長会議に出席し、経緯を説明した。各組合長は、東電が昨年4月に外洋流出を把握しながら公表しなかったことを問題視。『外洋流出を隠していた。信頼関係は崩れた』(相馬双葉漁協の佐藤弘行組合長)などと批判が相次いだ」。
以上が、この度の汚染水の外洋への流出についてのあらましである。今まで、幾たび「問題隠し」をしてきたであろうか。そしてその度に反省の弁が繰り返されてきた。とりわけ地元の漁業関係者にとっては「まだか」という怒りが渦巻くことは当然である。
何時ぞやのブログにも書いた。「第一原発の現場で働く労働者の皆さん、作業中のミスや失敗をされたときそのことを隠さないで報告してください。また管理監督の皆さんは、それらの報告があった時は、その報告をした労働者の勇気を褒めて下さい。決して責めを負わせないでください」と。それはミスや失敗を隠したことが、取り返しのつかない大事故に結び付きかねない性質を持っているのが原発だからです。
しかし、本家本元の東電が、昨年4月からの失態を知りながら公表しなかったということを、漁業関係者はもちろん、現場で収束作業に当たっている労働者にどう説明をするのだろうか。「決して、隠すつもりはなかった」では済まされない問題であろう。
今回の流出問題は国会の場でも追及されているが、同時に「県」の課題として重く取上げるべきであろうと思う。譬えれば、危険な食材を製造、販売をした業者は法に基づき処罰される。重くは「廃業」、「営業停止」、「是正勧告」、「賠償金」という民事罰。そして管理責任者の刑事罰がある。それは当該事業所の管轄部署である監督官庁による決定である。だから「県」の重さは重要だと述べた。ところで困ったことに第一原発の事業を廃止、停止させるわけにはいかない。すでに廃止、停止しているからである。では「管理責任」に対する刑罰となれば長い法廷闘争が待っているだろう。このことに対し県はどう対処するのか。今回はじまったことではないが、そこが問われると思うがどうだろうか。
そこで前に戻る。現地現場で働く労働者の作業管理・安全管理である。発注者の東電は元請けでもあり、下部には30余に及ぶゼネコンが存在する。そして数次にわたる下請け企業が存在する中での作業管理・安全管理である。今般の東電のずさんさと無責任な姿勢からすればおのずと答えは出てくる。「無管理・無秩序」の職場になっていても不思議ではないことを危惧する。
原発の現地現場は、高い線量も含め危険な職場であることは間違いない。しかも、天候の異常は「今日の現場が、そのまま明日も変わらぬ保障がない『荒現場』である」。それでも、働く皆さんに「決して隠し事はしないでください。報告をしてください」と述べる県民の願いを真摯に東電は受け止めて欲しい。
一日を終えた時「今日も原発は何事もなかった」。朝起きた時「昨夜の原発は無事であった」と思う日々であることは、福島県民の共通な想いであることを最後に述べておきたい。