恐ろしいこと

2013-08-11 09:39:13 | 日記

 恐ろしいこと

 5月29日、菅官房長官は記者会見で、国家安全保障会議、いわゆる日本版NSCの創設に関連し、総理大臣官邸の情報収集能力を強化するために「他国の高官との接触をする『諜報員』の育成を検討する」と述べている。これは、第一次安倍内閣のときにも提案されたことであるが、退陣によって廃案となり、次の福田内閣では姿を見せることのなかった方針である。それだけに、その法案の中身は吟味を要するものであることが、当時の自民党内においても存在していたと見るべきであろう。そして昨年暮の総選挙における公約でまたぞろ浮かび上がってきたものであり、政治家安倍晋三の思い入はただごとではない。

菅幹事長が述べている「日本版NSC」は、諜報員による「諜報活動」であり、これは政府省庁間から独立した常設組織であり、「日本版CIA」(内閣情報調査室)にも喩えられるものと考えるべきだろう。

1月に起きた「アルジェリア」の人質事件に端を発し、外国での情報収集活動の強化が叫ばれた。

しかし、歴史、文化(宗教)、経済、風土(言語)、そして政治情勢の異なる他国の情報をどれだけつかむことができるだろうか。それによって、現地の邦人の安全が守れるのかとなれば大いに疑問を持つところである。むしろ、現地の歴史、文化、風土に根ざした、「民間人による、民間の人間関係づくり」の積み上げこそが大事であろうと思うが、どうだろうか。

そこで、政府が提起する諜報員の育成(活動)である。他国の政治、経済、そして軍事に至るまでの情報収集は非合法的行為となるだろう。その意図が、いわゆる「スパイ工作・謀略」など、かつての日本帝国が、ロシア・中国・アジアで行った諜報活動の「暗黒の歴史」との結びつきを思い出すのは私だけであろうか。

そして、時もとき、「秘密保全法案」が秋の臨時国会に提出されると言う報道が飛び込んできだ。(8月9日)

安倍政権は、前記の国家安全保障会議を発足させる方針にあたり。「厳格な情報保全措置」が必要との判断からであると解説している。法案は①国の安全②外交③公共の安全と秩序の維持の3分野に分類(8・9毎日新聞)。「特別秘密」と指定したものに対する漏えいには、懲役5年から10年の罰則を処するものである。

ここでも出できた「公共の安全・秩序の維持」は、改憲自民党草案に流れている基本的なものである。時の権力によって如何様にも取り扱われるものであり、その乱用は戦時の歴史が証明している。

そして、この法案と「諜報部門の設置」は、「非合法・秘密裏」の諜報活動と、そのための厳罰主義の原理・原則において全てが結びつく。新しい事件ではアメリカCIA局員の例もある。

すでに、「日本版CIA」の創設もささやかれている。米国CIAは、より先鋭化された「諜報部局」であり戦争集団でもある。武器の提供はもちろん、パキスタンにおける「無人攻撃機」の操作がCIAであることを、ケリー国務長官が認めている.。

安全保障会議の創設・諜報員の育成・秘密保全法案などの流れには「恐ろしさ」を感ずるのは私だけであろうか。