ある高齢者のひとりごと

2013-08-07 15:50:36 | 日記

  ある高齢者のひとりごと

 政府が行う高齢者調査の年令は65歳以上となっている。よって65歳以上の高齢者の家族構成を見てみたい。2012年度の厚生労働省の発表によれば、全世帯の21.3パーセントが高齢者(65歳以上)である。その内訳は、夫婦だけの世帯は高齢者世帯の49.0パーセント(501万世帯)であり、女性の一人暮らしは34.2パーセント(349万世帯)、男性だけの世帯は13.4パーセント(137万世帯)になっている。

間違いもなく「高齢社会」である。ある人は言う。「高齢者という表現が気に食わない」と。多分その人は、登山のグループに加わりピッケルをもって山に向うとか、市民マラソンに加わる「元気シニア」の方なのかもしれない。私は、どうぞ遠慮なく年寄り呼ばわりをしていただいて結構。電車の椅子を譲って頂いたら遠慮なく「ありがとう」と言って座ることにしている。

それでも気に食わないことがある。それは「年寄りは金を持っている」という言われ方にはプツンと切れる。

「孫の日」というものがある。1999年、日本百貨店協会が提唱したものであり10月第3日曜日を指す。「良い爺さん・婆さん」を演じるために、デパートで「おもちゃやケーキ」をというものだ。当時の政府もバックアップした。内閣府は「良き爺・婆」を演じるために「月収36万円の収入」をというキャンペーンをしたことを覚えている。政府もいい加減である。無責任である。

いずれにしても、孫の教育費1500万円までは非課税とか。高齢者の消費欲を期待してなどの言葉を歴代の政治家は発する。しかしその期待に応えられる高齢者はどれだけいるだろうか。

世はまさに旅行ブーム。春の連休、夏休み、あるいは年末の連休などの移動はニュースとなる。しかし、そこには高齢者の姿は少ない。高齢者は、もっぱら「ジパング倶楽部」などの期間限定の国内旅行に楽しみの時を持つ。

そこで、もう一つの高齢者の実情を見てみたい。それはその旅行のメンバーである。年令が上がるにしたがって、同行者は夫婦から「知人、友人」へと変わっていくという報告である。

川柳に「指一本スマホとオレをつかう妻」というものがある。微妙なのは、夫が書いたものならともかく、妻が書いたところに「落ち」がある。使い捨てとは言わないが、「もう良いんじゃない」と宣言しているのだろうか。

それなら、返す言葉ではないが「俺も自由に行かせてもらいまっせ」と言えばよい。

現在修築中の「姫路城」の来場者は普段の2.5倍だと言う。それは工事用のエレベーターが乗用とも兼ねるところから、苦もなく天守閣の間じかまで行けるのである。しかもそのエレベーターの中の大半が高齢女性。財務省は、これら女性の財布を狙っているのだろうが、そこはしたたかである。財布の紐がきついことを承知しているのだろうか。降りてきて手にするのはソフトクリーム。あるいは土産店での試食。

ためらわないというのか、強いというのか。

ともあれ、高齢社会にあるシニアがどう生きるべきか。もちろん根底には財布の中身はあるだろうが、そこは、そこ。健康寿命の時をいかに長く持たせるか。その工夫のために「智恵と経験」を使いたいものである。