司法書士をしていると調べものをすることが多い。「前に調べて確かに結論はこうだったけど」と,確認の意味で調べる場合は張り合いもあるが,「前に調べた記憶はあるが,結論はどうだったけ?」と思いながら調べてみると,黄色いラインマーカーが引かれていて,少しがっかりすることがある。記憶力が……
ブログに書くと少しは記憶が定着するで(ブログは人のためならず),株主が100%親会社,あるいは100%子会社の場合について,『登記インターネット3巻11号』に少しアレンジを加えながら紹介します。
A会社はB会社の100%親会社であり,代表取締役がA会社,B会社とも甲で,A会社所有の不動不動産をB会社に移転する事例。
判例では,上記の例では取締役会の承認を要しないとしているが,代表取締役が同一の甲であるから外形上は利益相反である。したがって,不動産登記を申請するに当たっては,利益相反に該当しないことを疎明するために次の資料が添付書類になると説明している。
1 親会社Aの代表取締役甲以外の他の代表取締役,又は,甲以外の取締役全員が 作成した,取引時点で,子会社Bが親会社Aの100%子会社である旨の証明書 (印鑑証明書・登記事項証明書付き)
2 取引時点での子会社Bの株主名簿(子会社Bの甲以外の代表取締役,又は,甲 以外の取締役全員の証明を要する)
3 取引時点での発行済株式数がわかる子会社Bの登記事項証明書
これを読むと「そんなに必要ですか?」と言いたくなる。これだけの書類を揃えるよりは,利益相反取引に該当するとして,A会社とB会社の取締役会議事録を添付した方が会社の負担は少ないのではないでしょうか。取締役会議事録ですと過半数(利害関係人は除きますが)の取締役の記名押印と印鑑証明書で済みますから
この記事を読まれ方は司法書士だと思うので,どうぞ自己判断でお願いします。
それぞれの立場で考え方に差があることを勉強させられました。