債権者代位による登記は,案件が少ないだけに,依頼があるとその代位原因と登記原因証明情報(代位原因証書)で戸惑うことが多い!先日民法28条第2項の競売の前提としての債権者代位登記を経験しました。年度や日付,相続人の人数等はフィクションでああり,事実とは異なります。
1 約5年前に,遺産分割の調停が不調に終わり,結局数筆の不動産を5人の共有 (法定持分)とする遺産分割の審判がなされました。今年に入り,その後民法25 8条1項の規定に基づき共有物分割の裁判をしましたが,裁判所は民法288条 第2項の競売を命じました。
2 上記の遺産分割の審判がなされて5年余りが経過したので,その間に共有者の 1人が死亡したために,競売をするためには,相続登記を経由しなければならな いという案件でした。
3 亡くなった相続人の誰か1人が相続登記に協力してくれれば債権者代位という 面倒な手続きは要らなかったのですが,実際に競売の申立をしようとしたのは, その相続人の相手方でした。
4 代位登記で頭を悩ますのは,代位原因と代位原因証書ですが,今回は次の方法 で無事登記を完了することができました。
(1) 代位原因 平成25年6月10日判決に基づく競売
(2) 代位原因証書 判決正本,確定証明書,競売の受理証明書
* 個人の意見(何の力もありませんが)としては,判決正本とその確定証明 書があれば,競売の受理証明書までは要らないと考えたのですが,法務局 の見解は,受理証明も要求されました。
5(遺産分割に関する感想)
判決(共有)→共有物分割の調停 →不成立 →共有物分割の裁判 →民法 288条第2項の競売という流れは,ごく自然だと思うのですが,こういうケースをあまり見聞きしません。ということは,遺産分割調停の成立率(この表現でいいのでしょうか)は,相当高いと推測されます。まぁ,少々の我慢で済むことでしたら,5,6年もかけて上記の道を歩むよりは,ずっと良いと思います。
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