健康楽園。

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千年の愉楽。

2013-04-03 | looking.
若松孝二監督の遺作となりました。
原作者 中上健次さんの生まれ故郷 和歌山の海辺に隣接する山村が舞台です。
産婆オリューは自らの子供を失い、産婆となり、夫に僧侶を迎えた。いのちの誕生と、野辺送りを司る巫女のような存在。
村の、中本一家に流れる破壊的な「血」の悲劇を描いて、悲しい。
1992年8月に亡くなった中上さん。
一昔前なら「血」の呪縛にも実感が伴ったかもしれないけれど、現代は血縁や地縁が希薄化してきて、遺伝子組み換えなどが現実味を帯びる時代。
中本家の息子たちは、奪い取った人妻の夫に刺し殺され、次の男はヒロポン中毒に犯され、また次の男は破戒労働争議で、死に絶えていく。
若松監督は、なぜここまで血にこだわるのか。
中上健次さんは、永山則夫が日本文学協会に入会希望を出し、死刑囚だからと断られたときに抗議して協会を脱会。
そして、湾岸戦争反対から、、、、自滅の道を歩む。

この映画は、中上さん含め、幾多の先に逝った、意思を貫いた同時代人に向けた手向けの墓標だ。
過剰の生命力をもてあまして、その過剰性により自滅していく中本一族。
それは若松監督の「血」そのものであり、時代とともに滅びゆく「血」のたぎりを惜しむ心根。
若松監督と志をひとつにした方々へのオマージュ。

「血」に手向けられた孤独な一本の蝋燭といえる映画である。

産婆オリューオバアは、死の床で、それを語り続ける。まさに若松監督そのもの。
若松監督の遺作となりました。

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4 コメント

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Unknown (アポロ)
2013-04-03 07:51:25
こちらでも12日まで公開しているようです。
早速週末に観に行って来ます。

感想は後程!!
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アポロさんへ。 (しゃちほこ。)
2013-04-04 05:23:11
あーーーー、そちらでも、いいですねーーー。
熱いですが、とても味わい深い作品、遺作に仕上がっていました。
ぜひ!!!!!
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遺作ですか (MU)
2013-04-10 09:08:45
余談ですが…監督は 私の中では日活ロマンポルノのイメージが強くその後の作品はほとんど知りません。が、亡くなられたニュースに『おやっ?』と思いました。亡くなる数日前TVで映画の話をされたのを観た事もあり私の中で監督がクローズアップされていた時期でもあった事と、大の大人が事故死など腑に落ちなかったので検索すると出てきたした。黒い噂が。次回は東電の事を映画にする予定で…云々と。陰謀説好きな私には引っ掛かる話でした。

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MUさん、ありがとう。 (しゃちほこ。)
2013-04-11 06:07:37
そうですね。
若松さんはまさにそのイメージが強いです。
それと、浅間山荘の映画のように、反骨、反体制の精神がいつも通奏低音で流れている監督さんです。
大島渚さんともちょっと違いますね。
もっと社会的で、課題、問題をえぐり出すといったところでしょうか。
残念なかたを失いました。
合掌。
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