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シンセミア

2005-10-18 | Weblog
シンセミア(上)

朝日新聞社

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作者・阿部和重さんの故郷、基地の町・パンパンの町といわれた山形県神町で起こる物語。
ドロドロとしてすべてが崩壊に向かって突っ走る、崩壊の予感を強く感じさせながら上下2巻800ページをぐいぐいと引っ張っていく。
冒頭から殺人事件、列車自殺、盗撮、不倫、麻薬、ロリコン、バイオレンス、暴力団、中傷ビラ・と限りなく物語の裾野が広がっていく。いったいどうなってしまうのか?そうして、崩壊の予感は一気に加速して、実際、崩壊してしまう。
作者自身、阿部和重というパ名前でパン屋の娘彩香のパソコンメールの相手として何回か登場してしまう。「予想していたよりもずっと若くて痩せていて、病人みたいに顔色も悪く、おまけに顔中に妙な傷跡のごとき微かな凹凸が沢山あった。部屋に籠って原稿を書いてばかりの日常だといっていたから、こんなに青白いのだろうか。」といったブラックユーモアもある。
この作家、作中では彩香にストーカーまがいの行為を行い、彩香の恋人からボコボコにされてしまうのだが・・・。
崩壊してしまった後に残るのが、旦那に毒を盛り続けた、パン屋の妻と彩香、そしてハドルネーム阿部和重が実際は、青年盗撮団の一員だったとは・・・・。
悪だらけで、悪は滅び崩壊していくんだけど、残ったのも悪だから・・・読み心地はよくないけれど、読ませちゃう。
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