春告げ坂―小石川診療記 | |
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新潮社 |
優しさと慈愛に満ちあふれる読後感です。先日読んだ「破戒」のステレオタイプの人物とモンキリ型の語り口とは違う、こまやかで丁寧な描写が際立ちます。
医療における たいせつなこころはなにかを感じさせてくれる物語でもあります。江戸末期の小石川養生所の集う人たちひとりひとりが懸命に生きています。特に主人公の若い高橋淳之祐の志しの高い、患者さんを治す姿勢に胸をうたれます。
蘭学も積極的に取り入れようと勉強するし、どんなに治る見込みのない困難な治療へも、自分への評価が下がるかもしれないリスクなどまったく念頭になく治療に専念していくひたむきな姿。
彼を支える養生所のひとたちと、彼の理想がまったく浸透しないスタッフたちとの隔週。そして、彼がいつまでも思い続けている父の謎の割腹自殺。
織りなす物語は深刻さも増しますが、、、、。
教育、教えるということについても、その表現に優しさがいっぱい!!!
孔子の言葉に「子 曰く 知之者 不如好之者、、、、、、、、、、、、、」子のたまわく、これを知るもの、、、、、云々があります。
この言葉を子供たちに教えるのですが、
「判らないことがあったら、判るようになったら すごく嬉しいよ。それが好きになったらもっといいし 好きになって 楽しくなったら どんなにいいかしら!!!」
と、ひもとくんです。
如かず、如かず、如かす、、、、、、、の繰り返しより、よっぽど学ぶことが進みますね。