カブトムシ、クワガタムシなどは男子の憧れ。
これは今も昔も変わっていない。
ただ、教室に出現するムシには男子生徒は極端に弱い。
それが、ハエであっても蚊であっても、小さな蛾であっても
発見すると大きな声で
「先生ムシがいる!」と大騒ぎになる。
もちろん女子は昔から虫には弱い。
子どもが虫を発見して叫びだしたら、教室がパニックになり、授業にならない。
「虫発見」の大声が聞こえると
その声を虫いや無視できなくなる。
すぐ現場に急行し手づかみで捕獲し、処分する。
それをすると乱暴で残酷で人道に反するような目で見られてしまう。
蚊を両手で叩いても(たたきころす)同じ目で見られる。
ゴキブリは手づかみというわけにはいかないが
昔は手づかみでも平気だった。
何故平気でなくなったか・・・?
ゴキブリを見ると狂ったように悲鳴をあげる女子と同居している
ゴキブリが出現するたびに、悲鳴が部屋に響き渡る。
そんな生活を何年も続けていたら、悲鳴が聞こえるたびに
ドキッとし、恐怖心が芽生えてくるのも当然だろう。
条件反射とは恐ろしいものである。
「悲鳴イコールゴキブリ出現」と条件づけられた私は
ゴキブリを見ると、ドキッとするようになり、恐怖をおぼえるようになった。
いつしか、ゴキブリを見ると悲鳴をあげるのは私が受け持つことになってしまった。
かくして悲鳴を上げていた女子はというと
新聞紙を丸めて、家じゅうを追いかけまわしている。
まったく立場が逆転した。