臨時休校のためすべての生徒に電話をかけた。
その中で羽曳野校の3名だけがどうしてもかからない。
電話番号の変更届をいただいていないのが原因だった。
2名は教室所在地と同じ地域。
1名は車で15分以上の遠方からの通学である。
2名は玄関の張り紙を見て徒歩で帰宅できる。
遠距離通学のSちゃん。
方法を考えた。
まず、電報の手続きをした。
次に、住所を頼りに書面を届ける方法を考えた。
3通の書類を作った。
この作業は臨時休校一日前の深夜である。
前夜38度9分の高熱を出し、体力が消耗していた。
一日たったとはいえ、高熱からは解放されていない。
まず、遠距離のSちゃんの住所をナビに入力した。
近づいたが家が建てこんで目的地のフラッグは見えるけど
家が見当たらない。車を降りて歩き出した。
寒気がする。歯ががくがくなるぐらいの寒さだった。
時間は0時を過ぎていた。
結局みつからなかった。
実は、義弟が他界した。
高熱があるので、私は葬儀に参加しないことを決めていた。
ところが、娘の一言「お母さんの弟が死んだのに点滴を打ってでも参列すべき」と叱咤された。
酷な話である。
東大阪校の授業が終わり、新幹線でいくには間に合わない。
夜行バスの発着場に移動するにも高熱の自分には自信がない。
結局、車で行くことに決めた。温い車内でアクセルとハンドルを操作するだけで
目的地に到達できる。
でも、大阪から茨城県まで12時間かかる。
葬儀は9時開始。無理な時間だ。
でも3回のトイレ休憩だけで7時に現地に到着した。どのような方法をとったのかは読者のご想像に
おまかせする。
いよいよ当日。
NTTから電話がかかった。1名の番地が特定できないので配達できない連絡だった。
肝心のSちゃんの電報は聞いてみると受け付けていないという。
慌てた。
もう一度住所を連絡して再送信してもらった。
数時間してNTTから電話が入った。Sさんには届けることができました。
ただ、ご不在だったので、ポストに投函しています。
事情を説明したNTT側は必死になってくれている。
「困った」
もし、教室開始の時間が近付いても、お母さんがポストを確認しなかったらSちゃんは
いつものように20メートル先で車を降り、教室にやってくる。
そのとき、お母さんのくるまはすでに出発している。
教室がしまって、寒風の中90分お母さんのくるのを待つ勇気があるだろうか?
もし、家の方向に向かって歩き出したらどうしよう。
子どもの足で二時間はかかる距離だ。
「最後の手段」
通っている小学校に電話をした。
対応は冷たいものだった。
個人情報がからんでいますので、学校では一切タッチしません。
確かに、関わってしまったら責任問題に発展する。
もう一度懇願した。
自宅から車で15分以上かかる場所にそろばん教室がある。
子どもが車から降りて、お母さんが帰ってしまったら、教室の前で90分間迎えを待つことになる。
もし、待ちきれなくて、一人で自宅に向かって歩き出し事故でもあったら大変なことになる。
私は子供の命にかかわるかもしれない重大なことだから、学校にお願いしているのです。
「今日のそろばん臨時でおやすみしますと教室から連絡があった」と言ってもらえるだけでいいのです。
結果はダメでした。
ただ、お母さんが電報に気づきさえしてくれたら、問題は解決する。
葬儀も終わり精進落しのとき再びNTTから電話が入った。
「Sさんのお母さんが確認され内容を伝えることができました。」
その時だけは耳の痛さもわすれ安堵の気持ちでいっぱいだった。
実は大阪を出発してすぐに右耳に異変が起きた。
気圧の差で耳が詰まった状態になった。なんどあくびをしても、飲み物を飲みこんでも治らない。
数時間すると痛みが出始めた。
首都高から東北自動車道を走っているときは涙が出るぐらいの激痛に悩まされた
帰阪後病院にいくと「風邪からくる中耳炎」と診断され
切開手術で膿を抜いてもらった。
ちなみに高熱の原因のインフルエンザ菌は検出されず、普通の風邪だった。
読み返していないので、誤字脱字いっぱいあるだろうなぁ・・・