迷歩録 いと

　　　　　　　　　　　　　　糸



　　　　　人間がつくりだしたのか

　　　　　それとも蜘蛛がつくりだしたのか

　　　　　糸はこの世の最高な製品ではないだろうか

　　　　　糸がなければ何もできない

　　　　　勿論のこと

　　　　　人と人を繋ぐ見えない糸

　　　　　この糸が何色なのか

　　　　　当人同士しかわからない

　　　　　この糸の色は時と状況、気分で簡単に変わる

　　　　　強い糸もあれば弱い糸もある

　　　　　この糸をどのように扱いどのようにするかも

　　　　　当人同士

　　　　　糸という繋がりがあればこそ

　　　　　人はそせぞれに生きていくことができる

　　　　　時には縺れたり、切れたりもする

　　　　　もつれた糸は、緩めることが基本だが

　　　　　誰もが引っ張り縺れた部分を絞めてしまう

　　　　　このことで、縺れは完全なものとなり

　　　　　その部分は瘤となりほどけなく

　　　　　永遠に瘤化して解けない

　　　　　糸は扱いようで様々な物に変化する

　　　　　縦の糸、横の糸斜めの糸、色付き糸

　　　　　それを織りなすのが、人の社会

　　　　　糸がどのように張り巡らされて

　　　　　どのように織られているのかを

　　　　　知ることが重要

　　　　　糸の色、糸の強さ、糸の織り方

　　　　　織られた物の見た目

　　　　　その細部を知ることが

　　　　　人間社会を知る手掛かりとなろう。