曇り空 動きを止めて 聞き入るや 鶯の声 山杜鵑
ひのひら ろくべえ
諺にこのようなのがある。「痩せ腕にも骨」これはたとえ微力な者でも
それなりの意地や誇りを持っている。だから決して侮るなという教えだそ
うな。昔の人はうまいこと言ったもんだと感心するだけでなく。このこと
を今風に言うと、プライドを誰しも持っている。そのプライドを誰しも傷
つけるようなことしてはならないという事ではないだろうか。
特に相手が障がいを持つ人であったり、認知症であったりすると、無意
識に上から目線となり、知らず知らずのうちに相手を傷つけていることは
良くある。本人が気づく力があれば、同じ過ちは犯さないと思うが、本人
は気づいていないことが殆どである。最悪の場合は本人はいいことをして
いる。あるいは正しいかかわりをしていると勘違いしている場合がとても
問題である。本人は気づかない、周りから注意しても、なぜ注意されてい
るのか解らない。解らないままに同じかかわりを続ける。傷つけられた人
は、なんとなく居心地が悪いが、そのことを表現できない場合が多い。そ
んな対応をしていると、コミュニケーションはうまく行かず、人間関係の
トラブルの火種となっていく。プライドとは如何なる人も一人一人が持っ
ている生命の魂である。このお魂を例えⅠミリほどであろうと傷つけては
ならない。これが対人援助職の鉄則である。日々のかかわりを冷静に見直
す時間をつくりたいものである。