犯罪被害者の法哲学

犯罪被害・刑罰・裁判員制度・いじめ・過労死などの問題について、法哲学(主に哲学)の視点から、考えたことを書いて参ります。

離婚弁護士

2009-07-22 23:51:39 | 言語・論理・構造
その1

彼女は弁護士に尋ねた。「私は結婚してまだ3ヶ月なんですが、価値観の不一致はどうしようもなくて、夫と別居しています。完全に離婚したいという気持ちが強いですが、もう一度やり直したいという気持ちも残っています。夫のほうの気持ちはわかりません。私はどうすればいいのでしょうか」

弁護士は誠実そうな笑みを浮かべて言った。「そのようなときは、自分の心に正直になることです。離婚届に判を押して、郵便で夫に送りつけて下さい。もし、彼のほうに離婚する意思があれば、判を押して送り返してくるでしょう。彼に離婚する意思がなければ、丸めてゴミ箱に捨てるでしょう」

彼女は弁護士に従って、離婚届に判を押して夫に送った。ほどなく、夫から連絡が来た。「私はあなたと絶対に別れたくありません。あなたの冷たい仕打ちに傷つきました。あなたがどうしても別れたいと言うのであれば仕方ありませんが、それなりの誠意は見せてください。解決金として、50万円でいかがでしょうか。それ未満であれば、私は判を押しません」

彼女は友人と親戚から50万円をかき集め、夫から離婚届に判を押してもらい、無事に離婚が成立した。弁護士は彼女の報告を聞き、再び誠実そうな笑みを浮かべて言った。「何はともあれ、目的が達成できて良かったですね。お金のほうは大変でしょうから、こちらの支払いは最初の相談料と実費だけで結構ですよ」


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その2

彼は弁護士に尋ねた。「私は結婚してまだ3ヶ月なんですが、価値観の不一致はどうしようもなくて、妻と別居しています。完全に離婚したいという気持ちが強いですが、もう一度やり直したいという気持ちも残っています。妻のほうの気持ちはわかりません。私はどうすればいいのでしょうか」

弁護士は鋭い笑みを浮かべて言った。「そのようなときは、正直に行動してはいけません。相手の出方を慎重に見極めることです。もし、彼女のほうに離婚する意思があれば、離婚届に自分の判を押して送ってくるでしょう。その時がチャンスですよ」

彼女は弁護士に従って、妻のほうの動きを待った。ほどなく、妻から判を押した離婚届が郵送されて来た。彼はここぞとばかりに連絡した。「私はあなたと絶対に別れたくありません。あなたの冷たい仕打ちに傷つきました。あなたがどうしても別れたいと言うのであれば仕方ありませんが、それなりの誠意は見せてください。解決金として、50万円でいかがでしょうか。それ未満であれば、私は判を押しません」

彼は妻から50万円を受け取り、離婚届に判を押し、無事に離婚が成立した。弁護士は彼の報告を聞き、再び鋭い笑みを浮かべて言った。「上手く行きましたね。成功報酬のほうは、困難な事案が早期に解決したということで、50万円の4割が基準となりますので、20万円を頂きます」

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