宇宙そのものであるモナド

生命または精神ともよびうるモナドは宇宙そのものである

「獣と昆虫の戦い」『スペイン民話集(エスピノーサ篇)』(第72話):ライオンが率いる「獣」軍と、コオロギが率いる「虫」軍が戦い、「虫」軍が勝利した!

2024-06-19 18:24:29 | Weblog
(1)ある日、コオロギが散歩に出ると、ライオンが通りかかりコオロギを踏みつけた。「恥知らずめ、どうして私を踏みつけるのだ!」とコオロギが怒った。ライオンが「何を言ってるのだ、虫けらめ。わしは百獣の王だ」と言った。
(2)かくて「獣」(ケモノ)と「虫」とどちらが「強い」か、総力で戦うこととなった。さて決闘の日、ライオンは全ての「獣」を集めた。ライオン、虎、狐、熊など。コオロギもたくさんの仲間の「虫」たちを集めた。コオロギ、蠅、アブ、雀蜂、うじ虫、ゴキブリなど。
(3)「獣」軍の間でくじを引くと、狐が最初に敵と戦うこととなった。狐は「虫」軍にむかって勇ましく出かけて行った。
(4)コオロギは、狐が独りでやって来るのを見て、一匹の雀蜂をやって狐と一騎打ちさせた。雀蜂は、狐の両目・両耳・鼻先・お尻を刺した。狐は逃げて川にもぐった。
(5)ところが狐が川から首を出すと雀蜂がさすので、ついに狐は溺れ死んでしまった。「獣」たちはそれを見て「狐は捨てておいて、私たちは仲間を連れて逃げましょう」とライオンに言った。
(6)こうして「虫」軍が勝った。コオロギが言った。「世界で一番強い『獣』であるライオンに勝ったのだから、『虫』こそ強いのだ。」そして「みんなを集めた僕こそ、動物世界の王なんだ!」

《感想1》「獣」軍に属する各「獣」たち(ライオン、虎、狐、熊など)は自立性が強く、ライオンは彼らを有効に組織化できない。「獣」たちの世界は封建諸侯が分立する中世社会のようだ。ライオンは「王権」を持つとはいえ、有力な封建諸侯の一人にすぎない。
《感想2》「虫」軍(コオロギ、蠅、アブ、雀蜂、うじ虫、ゴキブリなど)は、多様な特殊兵器を持ち、多様な戦術が可能な専門的軍事集団の集合体だ。しかも非常事態には協力して戦う。
《感想3》「一寸の虫にも五分(ゴブ)の魂」:小さくて弱いものにも、それ相応の意地や考えがあるので侮ってはいけないということ。わずか「一寸」の虫でもからだ半分の「五分」の魂があるとの意。コオロギの「虫」軍の勝利!
この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 金子武蔵『ヘーゲルの精神現... | トップ | 金子武蔵『ヘーゲルの精神現... »
最新の画像もっと見る

Weblog」カテゴリの最新記事