宇宙そのものであるモナド

生命または精神ともよびうるモナドは宇宙そのものである

『伊勢物語』(Cf. 在原業平825-880)「第33段 こもり江」:荘園主の子息と荘官の娘の恋!「男」は優しい心遣いを示した!「女」は事情が分かっているが、とても悲しい!

2022-01-12 15:12:05 | Weblog
むかし、男、摂津の国の菟原(ウバラ)の郡(コホリ)に住む女に通っていた。ところが女は、「男がこんど帰って行ったら、もう来ないだろう」思っている様子だった。男が歌を詠んだ。

「あしべより満ちくるしほのいやましに君に心を思ひます(※増す)かな」
蘆の岸辺を満ちて来る潮のように、いよいよますます、あなたを思う心が深くなります。

女が歌を返した。

「こもり江に思ふ心をいかでかは舟さす棹(サヲ)のさしてしるべき」
人目に隠れた入り江のように私が思う心を、どうしてそのような心だとあなたは指さして(棹を「さす」と懸詞)知ることができるでしょうか。(反語!)

田舎の人の歌としては、相当に素晴らしいできだ(「よしやあしや」)と男は思った。(男は「相当に素晴らしいできだ」と思っているのだが、はっきり言うのを避けて「よしやあしや」と言った。)

《感想》上級貴族の在原業平(「男」)と、父阿保(アボ)親王の荘園にすむ在地の荘官の娘(「女」)とでは身分が違いすぎる。しかし「男」は優しい心遣いを示した。「女」は事情が分かっているが、とても悲しいのだ。荘園主の子息と荘官の娘の恋!


★こもり江
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