宇宙そのものであるモナド

生命または精神ともよびうるモナドは宇宙そのものである

オウィディウス(前43-後18)『変身物語』(上)「巻3」(28)-4「ナルキッソスとエコー」(その4):少年は水に映った自分に恋した!恋焦がれた彼の死体が消え、そこに水仙の花がみつかった!

2022-01-12 08:54:04 | Weblog
(7)「ナルキッソスも恋を知り、恋する相手を自分のものにできないように」との願いを、復讐女神が聞きとどけた!(116頁)
ナルキッソスはエコーを愚弄した。水や山に生まれた妖精(ニンフ)たちも同じ目に遭っていた。大勢の若者たち(男たち)もそうだった。彼にさげすまされた若者の一人が。手を空にさしのべて祈った。「あの少年ナルキッソスも恋を知りますように!そして恋する相手を自分のものにはできませんように!」この正当な願いを、復讐女神が聞きとどけた。

(8)少年ナルキッソスは、実体のない虚像、つまり水に映った自分に恋した!(116-118頁)
狩猟と暑さで疲れ切った少年ナルキッソスが、ある日、澄みきった泉をみつけた。水を飲んでいるうちに別の渇きが頭をもたげた。少年は「泉に映った自分の美しい姿」に魅せられ呆然とし、実体のない虚像を恋した。彼は影でしかないものを実体と思い込んだ。彼が、水に映った頸に抱きつこうとして、水の中に腕を沈めても、泉の中の少年はつかまらない。「私には恋しい若者がいる。だがいざとなると見当たらない。私たちを隔てているのは、わずかばかりの水にすぎないのに!」ナルキッソスが嘆く。

(9)ナルキッソスは「自らに恋焦がれていた」と気づく!「私の愛するものが私から離れていたら」と願う!(119-121頁)
だがナルキッソスは気づく。「わかった!それは私だったのだ。自らに恋焦がれて、燃えていたのだ。」「ああ、私が、この私のからだから抜け出せたなら!奇妙な願いだが、私の愛するものが私から離れていたら!」だが、悲しみのあまり、もう力は尽きていた。ナルキッソスの最後の言葉はこうだった。「ああ、空しい恋の相手だった少年よ!」そして「さようなら!」と言った。するとその時、エコーが「さようなら!」と答えた。ナルキッソスの眼(マナコ)を、死が閉ざした。

(10)火葬堆(ヅミ)や棺が用意されていたが、ナルキッソスの死体は消え、水仙の花がみつかった!(121頁)
ナルキッソスの姉妹の水の精たちは、彼のために髪を切って供えた。(※ナルキッソスは水の妖精レイリオペと河神ケピソスの子。)森の精たちも嘆き悲しむ。その嘆きに、エコーも嘆きで答える。すでに火葬堆(ヅミ)や、うち振られる松明(タイマツ)や、棺が用意された。だが彼の死体が消えていた。その代わりに、白い花びらにまわりを取り巻かれた、黄色い水仙の花がみつかった。


★カラヴァッジオ「ナルキッソス」(1599頃)
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