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浮世博史『もう一つ上の日本史』⑧飛鳥文化・白鳳文化は「日本独特の様式」「日本人らしい芸術性」でない!⑨645年乙巳(イツシ)の変で蘇我氏は滅んでいない!

2020-08-27 18:19:29 | Weblog
※浮世博史(ウキヨヒロシ)「もう一つ上の日本史、『日本国紀』読書ノート、古代~近世篇」(2020年) 「飛鳥時代~平城京」の章(43-66頁)

(8)飛鳥文化・白鳳文化:四天王寺式伽藍配置は「日本独特の様式」でない!百済・高句麗・中国南北朝、また新羅・唐の影響下にある「芸術性」だ!(47-49頁)
C  百田尚樹『日本国紀』は四天王寺、法隆寺について「日本独特の様式」と述べ、薬師寺金堂薬師三尊像、法隆寺百済観音像、高松塚古墳壁画について「いずれも日本人らしい芸術性が感じられる」(43-44頁)と述べる。
C-2 法隆寺(西院伽藍)は「日本独特の様式」である。しかし四天王寺式は「中国の影響を受けた伽藍配置」である。
C-3 飛鳥文化は百済・高句麗、中国南北朝時代の影響を受け、白鳳文化は新羅経由(7世紀)および遣唐使(8世紀)によってもたらされた文化だ。高松塚古墳壁画は、唐・高句麗の壁画の影響がある。「日本人らしい芸術性」というのは無理だ。

(9)645年乙巳(イツシ)の変で蘇我氏は滅んでいない!この時、中大兄皇子はまだ皇太子でない!(49-51頁)    
D 百田氏は、乙巳(イツシ)の変で「皇太子の中大兄皇子が645年に蘇我氏を滅ぼし」た(45頁)と言うが、(ア)蘇我氏は滅んでいない。滅んだのは「蘇我蝦夷・入鹿」だ。また(イ)645年乙巳の変の時、中大兄皇子はまだ皇太子でない。皇太子になるのは乙巳の変の後だ。
D-2 645年乙巳(イツシ)の変の翌年、「改新の詔(ミコトノリ)」が出され、日本(大和朝廷)は「律令国家」を目指す。百田氏は律令国家を「儒教に基づく法治国家」(45頁)と述べるが、これは誤り。「律」が刑法(刑)、「令」が儒教(礼・楽)というのは漢代の話。当時すでに唐代では、律令国家の「律」は刑法、「令」は行政法その他諸法を指す。

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安部悦生『文化と営利』「第Ⅰ部まとめ」:「経営文化」の位置!市場・戦略・組織・文化モデル!「市場の嗜好性」と「経営文化」(経営風土)!「企業支配者」の思考行動様式=文化!

2020-08-27 12:36:20 | Weblog
※安部悦生『文化と営利 ―― 比較経営文化論』有斐閣、2019「第Ⅰ部 経営文化の理論的解明」「第Ⅰ部まとめ 経営文化の位置」(101-104頁)

(1)「経営文化」の位置:M-SSGCモデル=市場・戦略・組織・文化モデル!(101-102頁)
A チャンドラーのモデルをもとに、安部悦生氏は「M-SSGCモデル」(market, strategy, structure,governance, culture モデル)を提示する。すなわち「市場・戦略・組織・文化モデル」だ。
A-2 なおここで(a)「市場」は技術を含む。(b)「組織」は《management structure》(管理組織)と《corporare structure》=《governance》(企業組織or企業形態)の両方を含む。
A-3 「市場」(規模・性質)(「技術」を含む)と「企業組織」(企業形態)(ガヴァナンス構造)が、「経営戦略」に影響し、経営戦略が「管理組織(公式組織)」に影響し、管理組織が「経営行動」に影響する。
A-4  「企業組織」(企業形態)(ガヴァナンス構造)は、経営戦略に影響するとともに、また「組織体質」(経営慣行)(非公式組織)に影響する。
A-5 「組織体質」(経営慣行)(非公式組織)は、管理組織(公式組織)とともに、経営行動に影響を与える。
A-6  「文化(経営風土)」(or「全般的な文化の性質」)が、「市場」(規模・性質)、「企業組織」(企業形態)(ガヴァナンス構造)、「組織体質」(経営慣行)(非公式組織)に影響を与える。
A-7 「企業文化」が「企業組織」(企業形態)(ガヴァナンス構造)・「経営戦略」・「管理組織(公式組織)」・「組織体質」(経営慣行)(非公式組織)・「経営行動」に浸透している。

(1)-2 「市場の嗜好性」(量産品か手作り品か)は「経営文化」(経営風土)(or「全般的な文化の性質」)で決まる!(101-103頁)
B「M-SSGCモデル」=「市場・戦略・組織・文化モデル」のうち市場の性質=嗜好性について見てみよう。
(ア)「市場」(市場は技術を含むor市場と技術は相互作用する)は「経営戦略」に強く影響する。
(ア)-2 「市場」の2大要素は、規模(人口・所得)と性質(=嗜好性)だ。嗜好性は例えば、「量産品を好む市場」か「手作り風の商品を好む市場」かの違い。
(ア)-3 産業革命前の手工業時代はおおむね「手作り品」だった。
(ア)-4 機械制工業時代になり、市場の中心は「大量生産品」となった。「手工業製品」は廃れるか、ごく一部のハイエンド・セグメントで生き残った。
(ア)-5 所得の増大につれ「個性的な製品」を望む市場拡大、つまり「手工業的なハイエンド市場」が拡大。しかも「伸縮的生産システム」(flexible manufacturing system: FMS)(※できるだけ汎用性のある柔軟性に富んだ設備を複合し多種多様な部品や製品を自動的に生産するシステム、多品種少量自動生産、FA=factory automaton のひとつ)の登場で一部のハイエンド市場から、ミドルエンドにも拡大。
B-2 そうした方向性(「個性的な製品」を望むかどうか)の程度は、各国・各地域の「経営文化」(経営風土)(or「全般的な文化の性質」)によって決まる。仏・伊では「個性的な製品」が好まれる。米では「量産品で良し」とされローエンド・セグメントのウェイトが高い。

(1)-3 社風(企業文化)・業界文化・地域の文化・職業文化!(103頁)
C 個々の企業には、企業が設立された経緯、創業者の理念などから「社風(企業文化)」が誕生する。
C-2 同じ産業なら、「業界文化」も成立する。
C-3 さらに「地域の文化」の影響も受ける。
C-4 「職業文化」(Ex. 医師、弁護士、会計士、税理士、社会保険労務士、建築士、技師など)が、企業文化に少なからぬ影響を与える。

(1)-4 「企業支配者」の個性・価値規範・行動規範(思考行動様式=文化)が、「社風(企業文化)」、さらに「企業の構造」(企業組織=企業形態=ガヴァナンス構造)・「経営戦略」・「管理組織(公式組織)」・「非公式組織」に大きく影響する!(103頁)
D 「企業文化(社風)」に関しては、企業支配者(人事の主導的な意思決定者)の個性・価値規範・行動規範が重要となる。なぜなら「企業組織」(企業形態)(ガヴァナンス構造)が、企業支配者によって決定されるからだ。
D-2 要するに、企業支配者の思考行動様式(文化)が、(※「社風(企業文化)」に影響を与え、またそれと相まって)「企業の構造」(企業組織=企業形態=ガヴァナンス構造)・「経営戦略」・「管理組織(公式組織)」・「非公式組織」(=組織体質organizational habit=経営慣行management practice)に全般的に影響する。

Cf. 「企業文化」が「企業組織」(企業形態)(ガヴァナンス構造)・「経営戦略」・「管理組織(公式組織)」・「組織体質」(経営慣行)(非公式組織)・「経営行動」に浸透している。(102頁)

(1)-5 まとめ:「経営文化」は価値判断、嗜好であり、だが(※《客観的》に存在し、つまり《理性的》に把握できるという意味で《合理的》な要因であって)「非合理的」な主体的要因でない!(103-104頁)
E 「経営文化」は、マクロ的に見て市場の性質(Ex. 「市場の嗜好性」、量産品か手作り品か)に強い影響を与、ミクロ的には「企業支配者」を通じて企業のさまざまな諸側面を規定する。
E-2 メゾ的には「経営文化」(経営風土)(or「全般的な文化の性質」)は、業界文化・地域文化・職業文化に大きな影響を与える。(※むしろ双方向的な影響だ!)
E-3 当該国の文化、地域の文化は、労働者のエートスにも大きな影響をもたらす。
E-4 「経営文化」は、(※《「手段合理性」という意味での合理性》の前提である「目的」の根拠をなす)価値判断、嗜好であり、だが(※《客観的》に存在し、つまり《理性的》に把握できるという意味で《合理的》な要因であって)「非合理的」な主体的要因でない。

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