文春文庫 348ページ 629円+税
東京の小さな町 長原にある東京第一銀行の支店。この支店で起こった100万円の現金紛失事件を軸として、女子行員、係長、課長、副支店長たちの様々な思い、人間模様を描いた連作短編集。
上を狙う行員は、成績をあげること、そうしないと「次」が無い。そのためにはパワハラどころか、コンプライアンスなど問題とはしない上層部。これにべったりとついていこうとする者、抵抗して銀行を去る者、メンタルの課題を得て入院してしまう者などなど。銀行って凄いところと感心すると共に、似た話はどこにもあるよな と考えさせられたり。
本作は2006年に単行本として出版されています。半沢直樹もの「オレたちバブル入行組」 はこの2年前に出版されていますから、本作が後になります。しかし、本作は半沢直樹のデッサン集のような感覚があります。すなわち、「シャイロックの子供たち」で用意した素材を半沢直樹の「オレたちバブル入行組」「オレたち花のバブル組」に組み上げたかのような関係が感じられます。もしかすると、本作の短編は半沢直樹ものの数年前に雑誌に連載されたのではないかと。
デッサン集として捉えるとまたまた面白さが出てきますね。登場する係長や女性行員などが、半沢直樹の世界ではこのように生を受けたのかとか考えて。
1冊の短編集として捉えるとそれほどでもない作品ですが、半沢直樹ものへつながるデッサン集として読めば新たな味が出てきます。
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