クーベリックがベートーヴェンの9曲を9つのオーケストラを振って収録した全集。 1971年〜75年の録音。
第1番 ロンドン交響楽団
第2番 アムステルダム・コンセルトヘボウ管弦楽団
第3番 ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団
第4番 イスラエル・フィルハーモニー管弦楽団
第5番 ボストン交響楽団
第6番 パリ管弦楽団
第7番 ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団
第8番 クリーヴランド管弦楽団
第9番 バイエルン放送合唱団
普通はひとつのオーケストラで全集を録音するものだが、大胆なる企画をもって全て違うオーケストラ。この企画が成立した理由の要因に、この当時のDG(ドイツ・グラモフォン)のベートーベン全集が充実しすぎていたことがあるかと推測。カラヤンとベルリン・フィル、ベームとウィーン・フィル、そしてしばらく後には米国からの新参者のバーンスタインもウィーン・フィルと録音。そうなると、DGにとって一軍半のセールスのクーベリックはちょっと捻った企画ものになる。
ところが、この企画の結果が想定外の仕上がり。この当時の9つのオーケストラの実力、性格、色合いを理解できる良いデータとなった。
2020年のプロ野球で言うと、ソフトバンクの位置にいるベルリン・フィル。これと比較すると、広島のようなウィーン・フィル。予算は無いんだけど、この上ない精度の高いプレイするクリーヴランド。合奏力は気にせず、プレーヤーの個性が際立つパリ管。これといった特徴を言いにくいロンドン響。木目のきめの細かさを感じるボストン響。
CDも持っているが、LPならではこういう色合いがよく分かる。
ベートーヴェン:交響曲全集