「目覚めたら腕の中」 ジル・シャルヴィス

ハーレクイン・デジタル Kindle版

ERを担当する外科医エリックが急患で救命救急室に呼ばれる。患者は、足首の捻挫と頭と顎の軽い打撲傷とのこと。なぜこの症状で外科医が呼ばれるかをいぶかりながら、救命救急室に入るとそこには半年前に別れたデイジーが毛布にくるまっていた。病院内でパーセル・サービスの仕事でやってきたいたデイジーが廊下でエリックに衝突して二人とも倒れたという出会い。その夜にデート、そしてお互いに惹かれ合って激しく愛した。しかし、デイジーからエリックに一方的に別れを切り出されエリックの心は切り裂かれた。毛布をはぐと、そのデイジーがセクシーなランジェリー姿で横たわっていた。エリックはデイジーの姿に釘付けになり・・・。

ハーレクインの正統派のラブロマンス。それなりのエロティックな描写もあり、バランスの良い作品です。エロマンスを期待する人は、不満感が残る上品な作品です。

物語は単純明快。彼となる男とは時間を共有したいと考える女性。しかし、彼は超多忙なER担当の外科医。しかも自分は医者とはふさわしくない女であると考え、自分から別れを告げる。それを知らない男は、半年後も心を痛めたまま。それがたまたまの事故で巡り会い、というお話。ハーレクインの本筋、本道です。

気楽に読めるラブロマンスです。

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「ボーダー・ラン」 DVD シャロン・ストーン

2012年 米国作品。

ジャーナリストのソフィー（シャロン・ストーン）は失踪した弟アーロンを捜すためにメキシコへ。そこで、弟の同僚と共に捜索を始める。そして、アローンと共に非合法の越境活動支援をしていた男と会う。そしてコヨーテと呼ばれる越境請負人のアジトに侵入する。



議員もやり込めてしまう女性ジャーナリストが失踪した弟を捜しにメキシコに行くところまでは良いのですが、そこからの行動がとてもジャーナリストとは思えない滅茶苦茶さ。例えば、弟の居場所を知っている男と会う前に、同行の男と食事。そこでワインとテキーラを飲み、ダンスしてキスして良い感じになってしまう。当初は「今夜そこに行く」と言っていたのはどうしたの と言いたくなるような緊張感のなさがあったりして、真面目な話なのですが笑ってしまいます。編集も上手なく、話の流れが速くなったり停滞したりします。

主演のシャロン・ストーンは金髪の美女、「氷の微笑」「硝子の塔」でセクシーな演技を振りまいてくれた女優。本作では黒髪に染めて おばさんジャーナリストの役。1958年生まれですから、撮影時は54歳。年相応の役なのですが、ついつい昔の美しい悪女役を思い出してしまうので、落差を感じます。

この映画、無理な話と、妙な編集。やはり微妙です。


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「京都花街の教え 元芸妓が語る 昇る男の条件 沈む男の傾向」 竹由喜美子

すばる舎 222ページ Kindle版

京都の花街で11年あまり舞妓と芸妓を勤めた筆者が、多くのお客を見て 成功する男 すなわち「昇る男の条件」 と 成功しない男 すなわち「沈む男の傾向」 に気付き、これをまとめた本。

前向きに考える、先に動く、否定的な言葉は使わない という一般的な話が中心です。そこに加えて、京都の花街で舞妓、芸妓がいる世界で遊べる人たちに言えることとして「上に気に入られること」というポイントがあるようです。
例えば上司に会食に誘われて「仕事が忙しいから」の理由で断るのはマイナス。その時に上司は誰かに会わせるとか、何かを伝えるが為に声をかけている訳であって、その機会とその時持っている仕事を天秤にかけて、どちらが優先かを考えるべき ということ。


メモ
・どなたも自身に満ち溢れていらっしゃいます。
・誰にも好かれる男性でなくていい、けれど誰かが「素敵！」と思ってくれる人間としての魅力があるかどうか、それが昇る男と沈む男の違いではないでしょうか。
・楽しいことを、素直に表現する。ちなみに、つまらないことは素直に表現する必要はなし。
・昇る男は無邪気に楽しむ。
・鼻歌を歌いながらやっていてもお釣りがくるくらい能力が高くて、がんばったら成績が上がりすぎるからやめとくわ、というくらいずぬけた能力の持ち主でなければ、一所懸命がんばるのが当たり前でしょう。


いくつかのエピソードで ハッとしすることありです。気付きさせてくれる本として、価値有りです。



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「戦闘妖精雪風 OPERATION 5」 DVD

2005年作品。

神林長平 原作SF 「戦闘妖精・雪風」のアニメ。全5巻の最終巻 第5巻。

ジャムが攻めてくる。これに対して雪風が。。。
前の第4巻が素晴らしかったので、最終巻はどう持って行くかという大きな興味がありました。
そして、その結果は。。。分からない話。難解を越えてます。そして盛り上がらない。
困りもののDVDです。
「だからどうなの」「いったい何を表しているの」「何が言いたいの」という気持ちばかり高ぶってきました。そして、気を抜くと睡魔に襲われて。

これは希に見る駄作。制作費がもったいない。
こんな独りよがりの、視聴者の気持ちを考えないアニメがあるのだと感心した代物です。

ラストがこれではもったいない。寂しい結果です。


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「87CLOCKERS 1」 二ノ宮知子

集英社 Kindle版

「のだめカンタービレ」がヒットした二ノ宮知子の漫画。
有名な音大の3年生 一ノ瀬奏（かなで）は典型的な草食系男子。同級生が大学院に進むか、就職のための活動を開始している中で、自分はどうしようということを決められない。母親の勧めで、卒業後は母親のピアノ教室の手伝いをすることにする。
ある雪の夜、裸足でアパートの外に立つ美人のハナを見て、一目惚れ。ハナはそのアパートの住人であるオーバークロックの世界記録保持者ミケをどういう訳か支援していた。一ノ瀬奏はハナをミケから奪いたいために、ハナにオーバークロック世界一になると約束する。

PCのF1と例えられるオーバークロックの世界。ここに液体窒素による冷却をもって世界記録に挑み続けるミケ。PCオンチの音大生の一ノ瀬が、キャバクラ嬢たちに指導されて少しずつオーバークロックを知り、この世界に入っていくという話。

美しいハナとミケの関係はどういうものなの？ 一ノ瀬とハナはどうなるの？ 一ノ瀬がどこまでオーバークロックの世界に入っていくの？ という興味で引っ張りますね。
一方で、自作パソコンでクロック・アップ、オーバークロックというネタで漫画を描くとは。しかも、自作パソコンブームって10年くらい昔がピークで、今は下火じゃないの という環境下でのこの漫画。読者が100人いたら、そのうちの1、2人くらいしか、オーバークロックの話が分からないのじゃないの？ というレアでコアなお話を少女漫画家の二ノ宮知子さんが描いたことでハラハラ。きっと外してしまうのでは という妙な期待も膨らんだ作品です。



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「SPEC 零 警視庁公安部公安第五課 未詳事件特別対策係事件簿」 戸田恵梨香、加瀬亮

2013年作品。

SPECシリーズ完結編「劇場版 SPEC~結~漸ノ篇」の公開に先立ってTV放映されたスペシャル版。TVドラマ「SPEC~警視庁公安部公安第五課 未詳事件特別対策係事件簿」の前日譚にあたる。

高校生の時に飛行機事故で両親と弟を亡くした当麻紗綾（戸田恵梨香）は、スペックを持つ者に殺されたことを知り米国FBIの研修後、日本へ帰国、公安部公安第五課未詳事件特別対策係へ配属される。時間を止めるスペックを持つ一（にのまえ）は、当麻を親の敵と思い、最大の恐怖を味わせて殺そうとする。当麻は米国時代の親友ナンシーに助けられるが、このナンシーも一に殺される。

今まで不明であった当麻の生い立ちから、左手を失なった理由までを一の策略と他のスペックホルダーの敵討ちを重ね合わせて見せてくれます。瀬文（加瀬亮）のSIT隊長になるまでの話も語られますが、こちらは付属という感じです。従って、本作は戸田恵梨香のドラマ。彼女の良さがしっかりと表されています。



TV放映→DVD。 映画公開→DVD。 こうやってTVと映画、そしてこれのまとめとしてのDVDを上手く使った、最近はやりのマーケティングです。
本作の話が映画にはつながって行かないですが、今回のできが良かったから映画が観たくなりますね。おっと、映画の前半が終わっちゃったから、DVDが出るのを待つという形です。


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MR-S レポート 8 （TOYOTA MR-S）

以前に乗っていたコペンとMR-Sを比較してみました。
コペンはガードレールをへし折る全損事故までやっちゃうほど、使い倒したクルマです。こちらの記憶をたどりながら 装備と感覚の比較をまとめました。





1．MR-Sとコペン 装備比較

コペンにあってMR-Sに無いもの
・シート・ヒーター（コペンはオプションで有り）
・エアコン・フィルター
・電動ルーフ
・トランクルーム
・レカロ・シート（コペンはオプションで有り）

MR-Sにあってコペンに無いもの
・スペア・タイヤ（テンパー）
・格納式カップホルダー
・ダッシュボード上の小物入れ
・LSD (Limited slip differential) （MR-Sはオプション装備で有り）

MR-S、冬にオープンで走るためにシート・ヒーターが欲しいですね。そして、花粉飛散期の必需品エアコン・フィルターが無いのも辛いです。



2．運転感覚の比較

MR-Sは発進、カーブで「軽い」と感じる。一方のコペンは軽いのですが「軽にしては落ち着いてどっしりしている」と感じる。
MR-Sのエンジンは普通のセダンの機関。コペンのエンジンは精密な機械が超高回転で回っているという快感がやってくる。


どちらも、ツーシーターの使い勝手が良くないガマンを強いられるクルマですが、もっさり感のある音のエンジン以外は、MR-Sは真のスポーツカーです。コペンはスポーツ・タイプというところ。性格が違うということが分かってきたこの頃です。

性犯罪被害にあうということ

朝日新聞社出版 Kindle版

24歳の時、仕事からの帰宅途中に2人組の男にワゴン車に連れ込まれレイプされた筆者。これを機に、大きなクルマには乗れない、人に触られると嫌悪感さらには吐き気がするという症状が発生。体が変わり、心も変わった。恋人、家族、友達との関係も崩れた。
性犯罪の被害者の立場で、自分と周りの人たちの変化、苦しみ悲しみ、そしてこれを乗り越えていく姿をあからさまに語った本。

性犯罪に遭い、心が傷つく。家族はこれをこれ以上表に出すなと言う。恋人にはきつく当たってしまう。理解されない性犯罪被害者の傷があることを再認識。この被害者やこれに近いことを受けた人の前でレイプという言葉を使いことすら、傷を拡げてしまうことがある。このあたりは注意しなければ。

メモ
・24歳の夏、私は見知らぬ男二人にレイプされた。道を聞かれ、教えようと近づいたところを車内に引きずり込まれた。犯人はいまも、誰だかわからない。
・頭では「加害者が悪い」ことは分かっている。しかし、特に性犯罪の場合、それを表沙汰にできない風潮が社会にある。
・セックスで理性が外れることが、私にはとても怖いことだった。
・「もう誰にも話さないでちょうだいね」と母に言われた一言が、世の中の”常識”を感じさせてくれた。被害にあった人と話すことが”恥ずかしいこと”なんだという圧力を感じた。

今まで読んだことのないジャンルの本です。これは濃くて重い。考えさせられることが多い作品です。

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「7日間のご主人様 12 シェイズ・オブ・ナイト」 ティファニー・ライス

ハーレクイン・デジタル Kindle版 200円。

23歳のエレノアは同棲する恋人が1週間留守をする間、彼の友達ダニエルに貸し出される。エレノアは恋人の所有物として、いいなりの生活をしてきたので、今回の貸出が意味することも理解して、強い嫌悪感を持つが従わざるを得なかった。
屋敷に連れてこられたエレノアはダニエルに会った瞬間、想像していた嫌な男ではなくハンサムなセクシーな30代男性であることに驚く。そして、ダニエルが3年前に妻を亡くしたこと、図書館司書で会った際に富豪の亡妻と知り合い結婚したことを知る。書店で働く本好きのエレノアは、書籍に対しての知識を持つダニエルに惹かれ始める。7日間の貸出、その間のご主人様となる約束について、意外にもダニエルはエレノアの気持ち次第であることを話す。しかし、お互いに意識が高まり。。。。

ハーレクインのハッピーエンドで終わるラブロマンス、エロマンスです。5つ目となりました。
エロマンスとして、今までの5作の中では入門コース、初心者のレベルです。行為に致るまでの描写がつたなく、これでは盛り上がらない。そしてエロマンスのサビのところが、これは創造力が少なく、フランス文庫の最初の5ページ目くらいで出てくるエピローグ程度。残念な作品となりました。

ストーリーも、無理が大きすぎました。友人に自分の恋人を貸し出すというのは、石田衣良の小説にもありましたが、こちらは動機もしっかりとあって納得できました。本作では、なんとはなしに、恋人を貸し出して、その結果貸し出された女性が恋に堕ちてしまうという話なので、それまでの恋人との関係や絆はどうだったのという疑問などが次々と浮かんできます。

ハーレクイン・デジタル中ではランクが低い作品です。


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「疾風ロンド」 東野圭吾

実業之日本社文庫 398ページ 648円＋税

東野圭吾さん 60冊目。 今回は文庫本書き下ろし。

ある有名大学で炭疽菌の生物兵器が盗まれた。犯人はこの大学の研究所でこれを開発していた研究員。彼から「この生物兵器をある雪山に埋めた。10℃を越えると容器が破壊されて炭疽菌が空中に撒かれる。3億円と引き替えに隠し場所を教える」との脅迫の通知が入る。ところが、この後犯人が交通事故によって死亡してしまう。この研究室では生物兵器を開発していたことを明らかにしていなかったため、ある研究員に極秘に回収する指示が出る。情報は、犯人が残していた雪山の写真と、探知機。研究員はスキー場に詳しい息子とともに、超長を開始する。

東野圭吾さんの作品の中では特に肩肘張らない、軽いトーンの小説です。これ良き方向に動き、テンポが良く、登場人物も生き生きと動き回ります。心理描写はあえて行わず、TVドラマを観る感覚で小説を読み進めていくことになります。このページの枠内で、話が二転三転。危機一髪があったかと思えば、その次のページにはこれが解決。伏線が至る所に隠され、エンディングでは、なるほどなぁ とうならせるところは東野圭吾さんならではの世界です。

ベートーヴェンの交響曲で例えると「白夜」「幻夜」は奇数番。これに対して、本作は交響曲第6番「田園」のような、重苦しさを排除して すがすがしさを前面に打ち出した長調の曲です。

メモ
・どこかで不幸に見舞われた人がいるからって、自分たちまでもが幸せを追求するのをやめちゃいけない。そんなこと、誰も望んでいない。

お薦め本です。

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