題して「まったく絵を描かなくてもマンガが作れちゃう?! ~デジタル時代のマンガの未来~」。
平日ですが聴講に行ってきました。
田中圭一さんは「神罰」「死ぬかと思ったH」などの手塚治虫タッチで、シモネタを連発するこれまでのマンガでは考えられなかった新ジャンルを切り開いた作家さんであるとの認識をしていました。
はっきりいって、「神罰」は好きなマンガです。
講演にあたっての肩書き紹介が「最低シモネタお下劣パロディー漫画家・IT企業取締役」。
??田中圭一さんがIT企業のお仕事していたの?? から始まりました。
京都精華大学の教授である、マンガの編集者である竹熊健一郎さんとの 好き勝手トークの形を取りながら、実は講演は緻密に企画さたことが伺える内容、すなわち90分間の充実した講演でした。
3部構成。(私の勝手な解釈。ご本人や主催者側はこうは考えていなかったでしょう)
第一部「田中圭一さん紹介」
第二部「まったく絵を描かなくてもマンガが作れちゃう ソフト コミPo! の紹介」
第三部「コミPo!が創り出す新しいマンガ文化論」
第一部「田中圭一さん紹介」
プロマンガ家 と IT企業の取締役 の兼業。
タカラ(営業)10年間→ソフト会社(開発)→セルシス(営業) 半年→ 現在 ウェブテクノロジー(取締役 営業) 通算25年間 マンガ家とサラリーマンの二足の草鞋、
セルシスはコミックスタジオ V1.0が出た頃に入社。コミックスタジオへの機能搭載の提案、意見を出したが社長に取り入れてもらえず、こういうこともあって短期間で退社となった。
ここで考えたことを「コミPo!」で実現。
マンガ家としては、「ドクター秩父山」でデビュー。劇画調のマンガ。これが1990年代に出した「神罰」で変身。誰もが取り組めなかった手塚治虫のパロディの作品。初期の劇画調からのモデルチェンジは 劇画調の作風に飽きられたとの編集長の言葉がきっかけ。アメコミの模写などの試行錯誤の結果 手塚治虫に行き着いた。手塚治虫のタッチ(作風)を身につるには2年間を要した。
田中圭一さん曰く、「作風を変えたことでマンガ家生命が10年延命した。
その次の10年のために新たなことに取り組まねばならない」。
マンガ家としてのこの危機感と サラリーマンのセルシス時代の思いがシンクロして「コミPo!」につながっていく。
第二部 「まったく絵を描かなくてもマンガが作れちゃう ソフト コミPo! の紹介」
コミPo! の動画による説明と実際のデモ。 コミPo! は10/15発表であるため、写真撮影は禁止であった。
コンセプトは「誰でもカラーマンガが描ける」
セルシスのコミックスタジオは 絵が描けることが前提のソフト。コミPo! は画力が無くとも使えてマンガが作れる。
ワープロにより誰でもが活字を扱えるようになった。カラオケにより誰でもがオーケストラの伴奏で歌えるようになった。マンガは未だに絵が描けないとマンガに世界に入れない状態。これに対しての答が コミPo!。
コミPo! では次の手順でマンガを描きます。
コマ割
キャラクタ選定
服装選定
ポーズ選定
表情
アングル変更(3Dデータなのでくるくる回せる)
背景選定
フキだし
セリフ
漫符(マンプ)
書き文字
マーク
効果線
写真の背景化
モノクロ化
輪郭線の太さ変更、半透明化
こういう手順でマンガを描きます。従来1コマ数時間を要していたものが数分で作成できるようになった。
第三部「コミPo!が創り出す新しいマンガ文化論」
コミPo! により 今までの絵を描く労力を構想へ振り向けることができるようになる。
カラオケの登場により、アマチュアが歌うようになり、バンドを組み歌手になった事例。
これと同じように、コミPo! でマンガを描くようになり、マンガ家になることもあり得る。
コミPo! の同じキャラクターを使って多数の人たちがマンガを描くようになると、キャラクターに性格が芽生えてくる。
初音ミクがネギを振り回しているが、これはネットの中でできあがったキャラクタ。
コミケで二次創作(制作)が流行っている。コミPo! は 同じキャラクタでの創作が流行る可能性がある。
競作(共作)、リレーマンガへの展開もあり。
プラットフォームへ
作品を発表するサイトも用意している。
絵が描けなくてもマンガが作れるという コミPo! によって、マンガもUGCになる!
コミPo! は
12月発売予定
ダウンロード版 6,700円
パッケージ版 9,700円
機能を限定した無償版も用意される。
お金払ってでも欲しいソフトです!
田中圭一さんの2面のうちのサラリーマン、IT企業取締役、これ片手間にやっておられません。
マンガの概念、世界を変革するソフトを見せられました。カルチャーショックを覚えました。
この コミPo! はヒットしますよ、間違いなく。
こういうソフトを企画して作ってしまった田中圭一さんを恨めしく思いました。
さて、講演終わって、単行本「サラリーマン 田中K一がゆく!」にサインを頂きました。
時間をかけて、この本の田中K一(ご本人)のキャラクターまで描いていただいて、感動!。
お話も少しだけさせていただきましたが、まじめな性格がひしひしと伝わってきました。
こういうお方が 『あんなシモネタ』を描かれていることのギャップが、未だに信じられません。
今日は本当によい講演を聴くことができました。
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