サッカーと食育基本法!? 2月8日

サッカーワールドカップドイツ大会アジア予選で対決する、日本と北朝鮮。明日の埼玉スタジアムに、サッカーファンならずとも注ぐ視線は熱い。北朝鮮の力がどれほどのものなのか、さっぱりわからないが、日本チームにとって強敵であることに違いはないだろう。見るほうもスポーツマン精神に則り、どちらが勝ってもエールを送るべきだと思うが、我々日本人は、北朝鮮=金正日とついつい連想してしまいがちで、たたかう選手たちが少し可哀想だ。

サンフレッチェ広島に所属する在日Jリーガーの李漢宰選手は、今回は北朝鮮チームの一員としてプレイする。同胞に囲まれた李漢宰選手や安英学選手の表情は緩み、微笑ましい。薬剤師としての今日の私の勤務地は、李選手の出身地だ。李選手は日本でいう中学校までをこの地で過ごし、広島朝鮮高級学校へ進学し、高卒初のJリーガーという快挙を成し遂げた青年だ。今日の職場は、そんな李選手の話題で盛り上がった。結論は、1人1人の選手には共感できるのに、唯一無二・金正日の存在だけが許しがたいということで意見は一致。とにもかくにも、サッカーを政争の道具になどせず、闘う選手も応援するサポーターも、正々堂々と力を出し尽くし、盛り上がっていこう。

さて、食育基本法なる法案が、衆議院で継続審議中だ。法案の基本理念は、やや抽象的。「国民の心身の健康の増進と豊かな人間形成、食に関する感謝の念と理解、食育推進運動の展開、子どもの食育における保護者、教育関係者の役割、食に関する体験活動と食育推進活動の実践、伝統的な食文化などへの配慮と農山漁村の活性化と食糧自給率の向上への貢献、食品の安全性の確保などにおける食育の役割」とある。自民党の武部幹事長や食育調査会会長の山東昭子参議院議員らが法案成立に意欲的だ。

しかし、考えてみると、食育は法律で押し付けられるようなものなのだろうか???確かに食育は、家庭での躾や学校教育の一貫に位置付けられると思うが、こと法制化するような代物なのだろうか?不必要な法律は、場合によっては子どもたちの健全な育成、あるいは与えられた自由への足かせにもなりかねない。食は文化そのものだ。地域固有の食文化が許され、人々の食指をそそってこそ食の楽しみが広がり、人々の豊かな精神も育まれるというものだ。法律が食文化を規制するなど、ちょっと考えられないことではないか。武部幹事長も山東昭子議員も、国会議員としてやり過ぎだ。

一方、医療現場では、糖尿病の患者さんに対する食生活の面での指導は広く行なわれている。医師とともに栄養士のみなさまが大活躍だ。微に入り細にわたり、栄養士によって小数点以下のカロリーまでもが制限される世界だ。子どもの頃から食育がきちんとなされていれば、そもそも糖尿病をはじめとする生活習慣病への罹患率は抑制されるはずだ。家庭科の授業はもとより、小学校のゆとりの時間などで真に役立つ食教育がなされれば、食育基本法なるものは出現しなかったはずだ。足し算引き算を間違えないようにと「算数基本法」などという法律など、絶対にあり得ないことと同じだ。

国会では、もっと意味のある審議をしていただきたい。例えば、今日の予算委員会での与野党のあげ足取りは、見るに忍びないものだった。さすがの小泉総理も途中で釘を刺す有様だ。政治とカネの問題を規制する法律を、国会議員自身がきちんと制定できるかは、はなはだ疑問。しかし、そうはいっても1日も早く自らの襟を正すべく、抜け道のない法整備が必要だ。そしてその上で、与野党ともに国民が真に求めているテーマで、論陣を張っていただきたい。郵政民営化も議員年金存続も、国民の大半は求めていない。これらの課題について国民にとって真っ当な結論を出す勇気を、国会議員は持つべきなのだ。
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